『ティガー・ムービー/プーさんの贈り物』のすべてが、すぐにビデオ化されるという事実が、良質のファミリームービーの不足を強く示しているが、それでもこの作品は見事な興行成績をあげた。ぴょんぴょんとよく動き回る我らがヒーローが、出し抜けに自分にはどこかに家族がいると思い込み、見つけようと決心するという作品の前提そのものが、忘れがたいティガーの歌の「ティガーの一番素晴らしいところは、オレたったひとりだってこと」という歌詞に背いている。結局は、100エーカーの森の仲間が事実上の家族だとティガーが気づき、始めに出てきたロケットペンダントは小さなルーの手に行き着くのだと、6歳くらいの子どもですら想像がつくだろう。このアニメ作品は小さな画面でなら満足できるかも知れないが、最近の劇場アニメの水準から見ると、かなり安っぽく見える。だが、終わり近くの雪崩はそれなりにクールだし、ディズニー作品での伝説的人物であるリチャード・M・シャーマンとロバート・B・シャーマン（ほぼ30年ぶりのディズニーのための楽曲だ）の歌は、実質的には旋律のない歌曲といえるだろう。（David Kronke, Amazon.com）