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審判―カフカ・コレクション (白水uブックス)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 新書
ブランド: 白水社
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不条理と、 ★★★☆☆
現代の不条理や不安を表している、とかよく言われますけれど、どうなんでしょうか?もちろんそういう側面もありますけれど、また、私は誤読を含めて読者が物語を楽しみ、判断する自由があると考えていますので、私見ですが、不条理や不安はもちろんですけれど、不条理ギャグ、みたいな部分が気になりました。私が読んだどの作品(「城」「変身」「審判」)も自身の信じているもの、社会常識や社会通念がある日突然信じられなくなる不安(それも個人対組織という形をとっての)、だからこその自分の立場や自分を信じ難くさせる不条理をあらわしてはいます。

しかし、この訳者の読みやすさもあるのでしょうけれど、そこはかとなくユーモアの香りを感じます。また私個人だけが分かっていないという立場をとらせているのに、ある意味その不条理な状況を素直に(抵抗はすれども、現実的に受け入れがたいことまで、結構そのまま)受け入れてしまうそのさまが、どこか滑稽に思えてきます。

すると、何処まで行っても細かな理由をつけてただ単に拒絶されている、という状況に変わりはなく、繰り返される滑稽さがまた増します。もちろんきっと様々な解釈が可能だと思いますが、後は受けて、読み手の側の問題なのではないか?と私は考えます。

しかし、中でも「審判」と「城」は面白かったです。私の好みとしては「城」に軍配が上がりますが、審判の方が完成されているともいえます。

不条理ギャグがお好きな方に、オススメ致します。
小説の結末が訳者の解説に書いてあるので注意 ★★★★★
カミュが“シーシュポスの神話”の中で、“城”とともに高く評価しているのがこの小説です。とても読みやすく、毎日少しずつ読んでも一週間ほどで読み終わることができます。この小説は未完に終わったとされていますが、読んでみると内容は完結しています(同じく未完に終わったとされているカラマーゾフの兄弟のようなものと思ってよいです)。小説の中に挿話的に入っている”Before the Law”だけでも読む価値が充分です。一つ難を申せば、この新書版の訳者の解説には小説の結末がすべて書かれており、読まれる前にこの解説を読むと興味が削がれる可能性があります。一週間ほどで読み終えることができる小説なので、解説は読後に読まれることをお勧めします。