サービス満点の短編集
★★★★☆
原題の「The Department of Queer Complaints」が示すとおり、
不可解な事件を専門に扱うロンドン警視庁D3課の
マーチ大佐が活躍する短編6編を含む、作品集。
カーならではの不可能犯罪トリックが凝らされた
サービス満点の10作品を楽しむことができます。
(今となっては、古めかしいトリックもありますが、
1940年発表の作品なので、ご愛嬌といったところです)
以下、10編に対する短いコメントを記します。
【新透明人間】
手袋が動きだして拳銃を掴み、老人を射殺。
しかも、死体は消失してしまった・・・。
【空中の足跡】
事件現場を往復する、雪の上の女性の靴跡。
足跡トリックの古典。
【ホット・マネー】
強盗は捕まったが、盗まれた金が見つからない。
意外な隠し場所のトリック。
【楽屋の死】
ダンサーが楽屋で殺された。
アリバイトリックもの。
【銀色のカーテン】
容疑者の青年しかいない広場での、刺殺事件。
青年以外の誰がどうやって殺したのか。
【暁の出来事】
誰もいない浜辺で突然倒れた男。
殺人の疑い高まるなか、死体が波にさらわれた・・・。
【もう一人の絞刑吏】
死刑が執行されようとした時、真犯人発見で、疑いが晴れた死刑囚。
だが、戻された監獄で、首を絞められ殺されていた。
ラストは、奇妙な味。
【二つの死】
静養のため、長期の船旅に出発した男。
帰ってみると、自分の死亡記事が掲載されていた・・・。
【目に見えぬ凶器】
閉ざされた暗い部屋で刺し殺された男。
室内には凶器が見当たらないが・・・。
【めくら頭巾】
密閉された屋敷内で、
夫の帰りを待つ夫人が無惨な死を遂げた・・・。
ホラー的要素を持つ作品。