インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

エラリー・クイーンの新冒険 (創元推理文庫)

価格: ¥1,128
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
Amazon.co.jpで確認
クイーンのファンなら押さえておきたい作品 ★★★★☆
クイーンの諸作を読んだのは、数十年前になりますが、
そういえば読み落としていた著名な作品がある、
ということで手に取ったのが本書です。
その作品とは、表題作の「神の灯」。
《白い家》に泊まったクイーン達が翌朝目を覚ましてみると、
向かいの家《黒い家》が忽然と姿を消していた、というもので、
一体、どんなトリックが隠されているのか…。
その感想ですが、多くのミステリを読んできた身にしてみると、
あまり衝撃はありませんでした。
トリックの中心部分もどこかで聞いたような…という感じ。
もっとも、ロジックはよく出来ていて、
クイーンらしい作品でしたので、
現在、国名シリーズや悲劇4部作に取組中の読者なら
きっと満足してもらえるのではないかと思います。

以下、「神の灯」以外の収録作品への短めコメントです。

【宝捜しの冒険】
真珠のネックレスの盗難事件。意外な隠し場所もの。
【がらんどうの竜の冒険】
日本人「カジワ」の書斎から、ドア・ストップが盗まれる。犯人は、なぜこんなものを盗んだのか。
【暗黒の家の冒険】
遊園地ジョイランドの施設《暗黒の家》で起きた射殺事件を巡る謎。
【血をふく肖像画の冒険】
先祖のグラメートン卿の肖像画は、妻の不貞行為があると血を噴いたいう。果たして、再び肖像画から血があふれ出て…。
【人間が犬をかむ】
野球場での殺人。元投手のツリーが青酸中毒で死亡。毒はどこに入っていたのか。
【大穴】
いかさまの起きる気配濃厚の競馬場で、競走馬《デンジャー》が撃たれるという事件が発生…。
【正気にかえる】
ボクシングの試合後、敗れたばかりの元チャンピオンが死体となって発見された。
【トロイヤの馬】
フットボールを観戦しようという富豪の持っていた宝石が盗まれた。その意外な隠し場所とは。
「それにまた、アリスという人物もいる」 ★★★★★
私が読んだ限りでは最高のミステリー短編集。とくに一夜明けると三階建ての石造の大建築物が消失するという『神の灯』は、他に比肩すべきもののない世界最高の短編ミステリーである。
この作品に挑戦というか二番せんじのような作品はあまた存在するが、この作品に及ぶものは未だかつて存在しないし、今後も現れることはないだろう。

なお、レビューのタイトルに記したのは消失した家の不可思議さとヒロインの名前から『不思議の国のアリス』を連想したエラリーのセリフで、作者の「アリス」好きをよく表している。
ただ、本書ではなぜか訳者によって、「アリスという人物もいる」の前の「不思議の国に登場する少女と同名の」というセリフが略されている。(嶋中文庫版『神の灯』では略されずきちんと記されている。)
「暗夜を照らす、まさに、神の灯だったのです」 ★★★★★

◆「神の灯」

  石造三階立ての「黒い家」には、シルベスター老人が
  ひそかに遺した、莫大な金貨が隠されているらしい。

  エラリーと弁護士のソーン、そして「黒い家」を相続した
  アリスは、向かいにある「白い家」に宿泊することになる。

  その「白い家」には、シルベスターの異母弟で
  主治医であった、ライナッハ博士が住んでいた。

  翌朝、エラリーたちが目覚めて外を見ると、一面の
  雪景色のなか、「黒い家」は忽然と消えうせていた……。

 
  《家屋消失》トリックの代表的作例で、
  多くのフォロワー作を生んだ傑作。

  メイントリックを裏で支えるサブトリックも
  巧妙で、作品全体を引き締めています。
 


◆「正気にかえる」

  ボクシングの世界選手権で敗れたチャンピオンのマイクが、
  スタジアムの駐車場にとめていた車のなかで刺殺された。

  たまたま、隣に自分の車をとめていたエラリーは、
  車に置きっぱなしにしていた外套を犯人に盗まれる。 

  エラリーは、外套さえ見つかれば、犯人も見つけられる、というのだが……。


  なぜ犯人はエラリーの外套を盗んだのか?、というホワイダニットが主眼。

  「外套」という手がかりを起点に、駐車場の場所やその夜の気候、
  エラリーの外套のサイズといったデータを勘案することで、犯人の
  条件が絞り込まれていきます。 



◆「暗黒の家の冒険」



◆「宝捜しの冒険」



◆「人間が犬をかむ」




「神の灯」を含む傑作短編集 ★★★★★
クィーンは短編の名手としても名高い。収録作は以下の通り。「神の灯」、「宝捜しの冒険」、「がらんどう竜の冒険」、「暗黒の家の冒険」、「血をふく肖像画の冒険」、「人間が犬をかむ」、「大穴」、「正気にかえる」、「トロイヤの馬」。

いずれも良く練られた佳作ぞろい。「人間が犬をかむ」は、有名な「犬が人間を噛んでもニュースにならないが、人間が犬を噛んだらそれこそニュースだ」という文句から題名を取ったもの。舞台は野球場で、国名シリーズの劇場、デパート、病院、ロデオ場と"広大ながら閉じられた空間"を舞台にした作品群を思い起こさせて楽しい。ここでの「人間が犬をかむ」はホットドッグを食べること。「正気にかえる」は犯人に翻弄されたクィーンの逆襲が見もの。

しかし、何と言っても特筆すべきは「神の灯」であろう。屋敷消失の大トリックともう一つのトリックの組み合わせは絶妙で、トリックだけを取り出せば「Yの悲劇」をも凌ぐ傑作。作者はこのトリックを成功させるため、カーばりのオカルティックな雰囲気を醸しだす演出をしている。これも巧みだ。江戸川乱歩も本作を絶賛しており、自身の「少年探偵団」シリーズ中でこのトリックを使っている。

前作にあたる「エラリー・クィーンの冒険」と合わせて読んで、クィーンの短編の見事さを味わって頂きたい。
神の灯! ★★★★★
他の方も書いているが、「神の灯」は大傑作。家1軒がまるまる消失というトリックもそうであるが、ネタバレになるのでここではあかせないもう1つのトリックも良い。さらに、探しても発見できない遺産の隠し場所もひねりがきいていて秀逸。総じて完璧に近い作品で、これを読むだけでも本書を買う価値あり。ぜひ手に取ってみてください。