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間違いの悲劇 (創元推理文庫)

価格: ¥672
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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エラリー・クイーン “最後の聖典” ! ★★★★★
本書はエラリー・クイーンの最新長編になるはずだった小説の精細なシノプシス(梗概)、『間違いの悲劇』と単行本未収録の7つの中・短編からなっている。

「本格パズラー」の巨匠エラリー・クイーンの“最後の事件”となれば、私のような、少年時代からクイーンの諸作品を読むことで育てられたミステリーファン、なかんずく「本格パズラー」のファンとしては、たとえ梗概でも読まずにはいられない。

『オセロー』をミステリー風に脚色すべく奮闘していたエラリーは、往年の大女優が『ハムレット』の舞台と同じ名で呼ばれる城で怪死したと聞き、シェークスピアの呪縛に苦悩しつつ推理を展開する。

諸般の事情で小説化されなかったのは残念だが、梗概とはいえ、クイーンらしい「本格のコード」が随所にちりばめられていて、そのテイストを十分味わって読むことができた。

なにしろ’74年邦訳(アメリカでは’71年発表)の長編『心地よく秘密めいた場所』以来32年。もうクイーンの新作は絶対読めないとあきらめていただけに、この梗概に触れることができて、それだけでもう感動モノである。

また本梗概により、リーとダネイによる合作作家‘エラリー・クイーン’の コンビの秘密を興味深く覗き見ると共に(ダネイが本梗概のような緻密なプロットを考案し、リーがそれを巧みな描写で小説化するといわれている)、リーが作品として完成させる前の、生(き)のエラリー・クイーンの姿を見ることができた。

併録されているほかの7編もファンにとってはこたえられない“クイーンらしさ”があふれる逸品揃いで、私もクイーンの諸作品を興奮して読んだ若き日々をなつかしく思い出した。
エラリー・クイーン最後の事件 ★★★☆☆
エラリー・クイーンの長編用のシナリオ(梗概)と
これまで単行本に未収録だった作品と合わせて載せた作品集。

もっとも短編7本は雑誌に掲載されたり、アンソロジー短編集に載っていたりですが。

シノプシスはさすがに記号的であまり面白みがありませんが、
これを後期の悩めるエラリー・クイーンで解決するとかなり面白くなると思われるほど、
後期のエラリー・クイーン風ではないです。