いつもなら、真美、蔦子、祐麒といったレギュラーキャラでも、あるいは令と由乃が剣道部に属しているといった前提知識でも、その巻で初出のときにはさりげなく説明が入る。その後の部分でも、よくよく丁寧に読み返してみれば、同じことが何度も繰り返し説明されていることが見てとれる。
しかしこの巻では、そういった説明がほとんど省かれている。そればかりか、何冊か前に数回出ただけで本編には関わっていない田沼ちさと、あるいは場面上には登場しないが柏木優といった人物を、全く説明なしで文中に出している。
つまるところ、この巻は、このシリーズをずっと読んでいる(あるいはまとめて読破した)常連客向けのファンサービスだ。
すなわち、「キャラクター萌え」をしたい人にとっては絶好の一冊かもしれないが、深い人間関係の話を読みたい私にとっては、この巻の祐巳と可南子の物語だけでは物足りなかった。まあ、その落とし前は続巻『特別でないただの一日』でつけてくれたので、よしとするか。
更に個人的感想:
・黄薔薇姉妹の一場面には潤んでしまいました(まりみて読んでると結構な頻度で泣いてますが・・・)。
・読む前からちょっと高めだった瞳子の好感度も今回登場回数が多かった事もあってかなり上昇です(笑