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ガープの世界〈下〉 (新潮文庫)

価格: ¥810
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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「人生は二流のメロドラマ」 ★★★★★
『ガープの世界』の中で、主人公ガープは「人生は二流のメロドラマ」であると
言いますが、この作品はそれを体現しています。誇張された暴力とセックス、
そして死。作品中ではめまぐるしく常に何かが起こっており、読者を飽きさせません。

この作品はハチャメチャなことが起こるという「ポストモダン」の小説でありながら、
ディキンズのような伝統的な語りのスタイルを継承しています。その意味では、
じっくりと深みのある小説を読みたいけど、退屈な作品は嫌だという方にぴったりです。

小説家である主人公ガープが書いた作品に対して、彼の編集者はこう言います。
「いいかね、もちろん、これはすごくよく書けているよ . . . でもね、なぜか
メロドラマなんだ、度がすぎるんだよ」

これは『ガープの世界』にも当てはまります。
深みがあるけれど、不条理が日常的に起こり、現実的ではない。

その編集者に対して、ガープは答えます。
「人生は . . . なぜか、度がすぎるものですよ。人生が二流のメロドラマなんです」

これがジョン・アーヴィングによる人生の定義であり、彼の世界観をもっともよく表した言葉だと
思います。その世界観が『ガープの世界』には凝縮されています。
幻想から大きく発展 ★★★★★
性欲というものを一度も感じたことがないけれど子供は欲しかった、という女を母親に持つガープ。彼は小説家になります。そのガープの伝記という体裁で書かれた小説です。最近はa-sexialという言葉をよく耳にします。異性愛でも同性愛でもなくて、禁欲でもなくて、まるで目覚めたことも無いような人、というのは確かに存在します。そういうのもひとつの生き方として積極的に認めていきましょう、というのがa-sexialという言葉が使われるようになった背景にあると思います。さて、この小説の場合は、息子が母親(特に厳しい母親)に対して抱くであろう幻想(息子は、まるで母親が性欲を持たないかのように感じる)がもとになっているのではないか、とうがった見方ですが、私はそう感じます。
夢中でむさぼり読める小説 ★★★★★
めまぐるしいストーリー展開、私小説のような抒情さ、悪趣味な人間描写、生きることへの希望の率直さ、これら全てが高密度で1つの小説にパックされていることに驚愕。延々と自己満足的に続く終幕も全く許せる。

夢中でむさぼり読める小説。
やっとアーヴィング作品を読んだ ★★☆☆☆
 もともと映画版「サイダーハウス・ルール」が大好きだった。それで、アーヴィングが気になってこのたびようやく「ガ−プの世界」を読んだ。作家の世界観がとても見える作品ではあったもののなぜか物語にのれなかったという印象。
 でも映画版「ガープの世界」も原作に劣らず有名だし、一度機会があったらそちらも見てみたいと思った。映画ではガープ役は確かロビン・ウィリアムスが演じてるが、これは適役でしょうね。
教師の息子 ★★★★★
アーヴィングの大作。この破天荒。この面妖。この桁外れの文章化のレスリング。どうして名前がガープなんだ?なにがなんだか訳がわからない。それでもなんでも読まされてしまう。アメリカ屈指の私立高の看護婦の息子。もうそれだけで笑ってしまいます。大体、私立の男子高って日本もアメリカも昔は、教師も生徒も男だらけで、女というと?この保健室のナースだけだったんですから。それが、チャーミングな可愛い女かと思いきや、スゴイ精神的筋肉質の60年代70年代を代表するような女戦士。ガープはこの母に育てられそしてアメリカの息子となる。

個人的にアーヴィングには非常に親近感を感じます。アメリカの私立高校の教師の息子って本当にアタマがいい。でもとっても傷ついている。何故なら周囲の友達はみんな金持ちの坊ちゃんお嬢様ばかりだから。貧乏なインテリに生まれつく哀しみが幼い時から染み付いている。多分彼等は作家になるか、親父のように教師になるしかない。

Teachers are losers..デモシカ教師。アーヴィングはアメリカの最も一般的な知識人からうまれた異才偉才です。