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プラグマティズム (岩波文庫)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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ジェイムズ復活!! ★★★★★
これははっきり言って名著と断言出来る!
最初のレビューアーの方と全く同じ理由で私も、この本を敬遠してきたが読んで良かった!
最近は、パースの再評価が著しく、その際決まって、「ジェイムズがパースの思想を歪曲して…、」的なコメントが続くのが、お決まりのコースであるが、これもうやめましょう!
パースはパース
ジェイムズはジェイムズ!!
二人の思想はやっぱり違うんですから、二人とも天才だよってことで…
自身の根本的経験論、多元的宇宙論ともからまってくるのが、ジェイムズのプラグマティズム。
「純粋経験の哲学」で好きになった人は必読デショ!
とにかく読みやすい!
漱石もジェイムズが好きだったのが、良く分かる。非常に文学的な感じもする。
ほんとに良かったので、来年辺りジェイムズの全集(著作集でもいい…)新しく出して欲しくなりました(だって翻訳大国でしょ!)。
原文も読んでみよかな…。

結論を云えば、哲学好きはもちろん、悩んでて江原さんの本に手を伸ばしかけてる人もまずはジェイムズ!!
これでいきましょう!
アメリカ文化論で終わらせるには、あまりに惜しい…
力が沸く哲学デスヨ!


真摯な思索の末生まれた哲学の方法論 ★★★★☆
私は、本書を読むまでは「プラグマティズム」という言葉に否定的なイメージを抱いていた。何か、軽佻浮薄な考え方のように感じていたのだ。しかし、本書を読んですぐにこの誤解は解けた。プラグマティズムとは、真摯な哲学的問いの末に生まれた方法論なのだ。

ジェイムズの基礎たる主張は次のようなものである。
世界は一であるか多であるか、宿命的なものであるか自由なものであるか、これらはどちらも世界に当て嵌まるかもしれないしまた当て嵌まらないかもしれない観念であって、この論争は果てることがない。しかし、今もし一つの観念が他の観念よりも真であるとしたならば、実際上われわれにとってどれだけの違いが起きるであろうか。もしなんら実際上の違いが辿られえないとするならば、その時には二者どちらを採っても実際的には同一であることになって、全ての論争は徒労に終わるのではないか。

ジェームズは真理というものを相対化して、真理とは実生活において有用であるかどうかである、と言う。その人がその観念を真理だと思えるかどうかが大切なのだということである。ジェームズにとって哲学とは「傍観者的なひややかな真理の探究ではなく、生活の基底そのもの」であり、「彼が生きていくための信仰ないし信念」であった(本書訳者解説より)。彼にとって哲学は、彼を救うものであったのだ。そして、プラグマティズムとはそのための方法論だったのだ。私はこのジェームズの哲学に対する態度に敬服せずにはいられない。

哲学の役割ないし目的をどのように捉えるかによって、好き嫌いは分かれるかもしれない。しかし、本書のメッセージの強烈さはまさに不朽であると言ってよいだろう。哲学をする際には必ず読むべき書物であろう。

アメリカ的な哲学 ★★★★☆
著者のウィリアム・ジェイムズ(1842-1910)は、アメリカを代表する哲学者の一人。題名の「プラグマティズム」は、直訳すれば「実用主義」というほどの意味であるが、まさしくその名のとおり、過去の西洋哲学から、役に立つものを一緒くたにしてまとめたという感じである。周知の如く哲学史を整理するに、合理論と経験論といったように二元論的に分類していくのは基本的であるが、著者はその一方を「原理」に拠るものとして合理論、主知主義、観念論などを挙げ、他方を「事実」に拠るものとして経験論、感覚論、唯物論などを挙げて、それら二元論の一方に傾くことは、極端であるというのだ。言ってみれば、双方のいいところ採りをしようというのである。その底には、人間の性格は混成的、矛盾的であり、プラグマティックな生活の現場では「原理」も「事実」も絡まりあって切り離せない、というような直感がはたらいているのであろう。ただ、この哲学に対しあえて「二元論」的にいえば、抽象を嫌い、具象に就くところがあるのは否めない。そこが、思考の抽象的な深まりを求める向きには、もの足りなさを感じるのも事実であろう。
それにしても、いかにもアメリカらしい哲学ではある。