シナリオ・シンキングと戦略策定
★★★★☆
不確実性を前提に起こりうる複数のシナリオを想定し、それに対処していく−−−
いわゆる「シナリオ・プランニング」(本書では「シナリオ・シンキング」と表現されていますが)を中心に、これから重要となってくるであろう思考スタイルについて紹介されています。
シナリオ・プランニングが世に出始めて久しいように思いますが、そろそろコンセプトを中心とした内容からより実践的な内容になっていくのかなという気がします。
そのためには、シナリオ・プランニングなどの思考プロセスが、広く企業の戦略策定(戦略レビュー)プロセスの中に組み込まれて定着していくかどうかがポイントになってくると思われますが、今はまだ、例えば中期事業計画策定といった機会においても、基本的には「過去の延長線」を前提とした思考スタイルになっているところが多いのかな(特に損益計画などの計数に関して)、というような印象はあります。
本書の内容などが広く世に出ることによって、単に「絵に描いた餅」を作る作業としてではなく、戦略策定プロセスの一環としてのシナリオ・プランニングが今後次第に広まっていくものと思います。
未来を考える視点が役に立った
★★★★★
未来を考えることは難しく、到底手に及ばないことだ感じていました。
そんな時、本書を読み、未来を考える足がかりをつかめた気がします。
特に、「未来の議論に正解はない」ので、「ある程度これでよいと思える仮説」に基づいて行動することが大切という作者の主張には、溜飲が下がる思いがしました。
これまで、正確な未来予測に基づかないと行動できないと考え、慎重になってしまっていたことが間違いであったこと。
未来への仮説・体験との間を行き来することで、少しずつ未来の姿が描ける、だから行動することを恐れてはいけないと気づかせてくれました。
上記は特に心に響いた点ですが、本書はタイトルの通り「戦略思考のフレームワーク」を体系立てて整理しています。
特に、5F・3C・4Pなど戦略・マーケティング論ではよく目にするフレームワークの相関関係を、シナリオ・プランニングも絡めて整理しており、「5・5・3・3・4の法則」のまとめを読み、どのような場面で各フレームワークを使うべきなのか理解が深まりました。
社内での議論でも、3C・4Pなどは出てきますが、3Cを議論すべき場面で、4Pのマーケティング戦略を議論したりしていたなあと実体験に振り返っても反省点に気付かせてくれました。