お勧めできない
★☆☆☆☆
原著は、1996年の出版のようだが、断片的に引用されるケースは遡ること20年以上前の石油危機当時の精油キャパシティやタンカー建造の調整の遅れだのと、手垢の付いた事例が多い。それ以外の少数のケースも、ほとんど説得力や引用の必然性を感じない。論理も散漫で、とても実戦に使えない。コンサルタント諸氏言うに及ばず、学生向けの教科書としても無用無益な一冊。
今やシナリオ競争時代に
★★★★★
本書は「シェルに学ぶシナリオプランニング」とも言うべき内容である。今日のように不確実性が増大する時代には、しっかりしたシナリオの構築が求められる。本書は、「トップダウン的」より、戦略を実行する人々を巻き込んだ「組織学習としてのシナリオプランニング」の形こそが成功確率を高めることに間違いはない。背景編ー基礎編ー実践編ー制度編の4部構成であり、流れもあり読みやすい。第14章には「戦略的対話の手引き」が付いているので読了後すぐ、実践に使える。
将来を洞察するスキルを学ぶ。組織学習と戦略へのコミットメント向上の有効な道具。
★★★★☆
本書は、長年に亘ってロイヤル・ダッチ・シェルで活用されている意思決定手法「シナリオ・プランニング」を紹介したものである。
不確実な事業環境に身を置くと、やはり腰が引けてしまう。前例にもとづく意思決定を重ねてきたサラリーマン経営者の多くには、見通しの利かない事業環境の中で如何に行動するか、前例以外は皆目見当がつかない人も多いのではなかろうか。
このような際必要になるのは、因果関係のロジックを積み重ね、将来を洞察する力ではなかろうか。本書は、『シナリオ・プランニング』として編纂された手法を紹介し、その重要性を示してくれる。また、企業が不確実な環境のなかで、自社の強みをストレッチしコア・コンピタンスを形成することで、持続的な成長を如何に果たすべきかについても示唆を与えてくれる。
加えて、本書では社員が皆でシナリオ・プランニングの作業に参加することを薦めている。それは、組織として将来を洞察することを通じ、組織の学習能力の向上と戦略へのコミットメントが得られるからだ。
事業再生が必要な状況にあるにも拘らず、将来を洞察することも戦略にコミットすることもない多くの企業に一読頂きたい。
経営に興味ある人にお勧め
★★★★★
予測なんてあたらないさとうそぶく前にこの本を読みましょう。アクションの選択に際していくつかのシナリオというものをメンタルモデルの中に持つことの重要性を実感させてくれます。 エンパワーメントという視点で読んでみても面白い本ではないでしょうか。 巷での受けはいまひとつのようですが、是非、ご一読を。