落語の魅力は語り口の軽妙さと、独特のリズムとサゲのすっきり感。
そうしたものを抜きに、淡々とあらすじを読まされても当然面白さが全く伝わらない。
そもそもこの本を読まずに、好きな落語家の全集CDを買ってきて先入観を持たずに聴いた方がよほど楽しめるのでは?
僕のような初心者向けにはあまりおすすめできない本。中級者以上の方には、お話の復習を兼ねて楽しめるのかもしれませんが・・・
ところが、題名は「古典落語CDの名盤」であるが、「古典落語」の粗筋の説明に多くのページが費やされ、「CDの名盤」が何故「名盤」であるかの所以の部分は、ほんの一言程度しか触れられていない。当方が題名から期待していたのは勿論後者であったので、その意味では残念ながら失望したと言わざるを得ない。
後書を拝見すると、そのことは著者も承知されていたようで、おそらく落語の本をこの叢書から出すとすると、こういう形(「入門書」の比重が高い形)にせざるを得なかったのであろう。
同じ著者で「名盤」鑑賞の方に重点を置いた次回作に期待したい。