聖なるものの本質
★★★★☆
本書では、聖なるものを俗と対比させながら確立させていく。
空間的な聖の観念は、世界の中心という考えにある。
俗の観念では、世界は一様に広がっているものだ。
しかし、宗教では、聖地などが世界の中心となる。
そして、聖地においてはミクロコスモス(小宇宙)ならびに天上界の縮図が構成される。
時間的な聖の観念は、輪廻的なものにある。
俗の観念では、時間は直線的に進んでいく。
しかし、宗教では時間は円環的であり、戻ってくるものだ。
祭祀・儀式などは、まさしくそういう場なのだ。
そして、宗教では神話的なものに自己をなぞらえ、それにしたがって生きていく。
ほかにもいろいろ書かれているが、大枠では上記のようになるだろう。
宗教的な発想というものが簡潔にまとまっている。
宗教の本質を簡便に知るにはいい本だろう。
最後に目次を記しておく
序言
聖なる空間と世界の浄化
聖なる時間と神話
自然の神聖と宇宙的宗教
人間の生存と生命の浄化
付録 宗教学の歴史