土田のコメントがないので♪
★★★★★
かなり真実に近づいてきて色々な人の過去が書かれています。まさか!あの人が…
「ルビコンを渡る」
★★★★★
いうなれば、嵐の前の静けさ。その静けさの中、事態は着々と動き、そして役者はそろいつつあります。
ズム・シティの公国議会、総帥府、親衛隊、首都防衛大隊、グラナダの突撃機動軍。それぞれの思惑を胸に、事態は絡み合いながら、「その時」をむかえつつあります。
一方、レオポルドの地道な捜査は少しづつ、真相に迫りつつあります。鍵となる人物「デイビィド・シラー」、その真意は。
そしてある時はオペラハウス、ある時は灯火管制の町からうかがわせるジオン公国の社会の真の姿とは。
「ワルキューレ」は宣言します。「我らに栄光を!ザビ家に鉄槌を!」陰謀の行方は、はたして――――――
ジオン、敗戦の真実。
★★★★★
一年戦争終盤、ジオン公国内で計画されたとする、ギレン暗殺計画を取り上げた作品の第二巻です。
最初は何かのゲームの攻略本かと思い、全く興味を持っていなかったのですが、1、2巻を一気に読み、良い意味で予想を大きく裏切られてしまいました。
今まで多くの作品が出され、語りつくされた感のある「ファースト」ですが、この作品は、まだまだ我々が見落としていた点、忘れていた点がある事に気付かせてくれます。
そもそも一年戦争当時、ジオンは常に一枚岩に見えましたが、本当にそうだったのでしょうか?
少なくとも対連邦においてはそう見えていましたが、ギレンやキシリアの対立以外にも、きっと色んな事があったはず。
そんな確信が、この作品の根底にあるようです。
例えば、一年戦争終盤で、時の首相ダルシア・バハロは、デギン公王と2人で連邦との和平工作を謀りました。
しかし、あれだけの事を2人「だけ」で行うのは、恐らく不可能です。
では一体、誰が『デギン派』だったのか?
国力にして約30倍の連邦に戦争を仕掛けた訳ですから、中にはそれを無謀と思い、ギレンに疑問や反感を抱いていたグループもきっといたでしょう。
また、ジオン・ダイクンは強烈なカリスマ性を持っていたリーダーですから、死亡した後も熱烈に支持し続けた人々が、ラル家以外にもきっといたずですよね。
そういった中に、デギン公王やダルシア首相に協力した人物がいると考える方が自然ですが、今までその辺の事に触れた作品はなかったように思えますので、ここに目をつけたのは慧眼と言えるでしょう。
さらに、ギレンとキシリアが開戦よりかなり以前から対立していたのは定説となっていますが、その対立の中で起こっただろう様々な出来事や、お互いに対する思いについてはほとんど知られていないのではないでしょうか。
しかし本作品を読むと、キシリアはかなり早い段階からギレンの殺害を決心していたようで、ギレンの「父殺し」はむしろきっかけにしか過ぎなかった事が分かります。
一体この2人の間でどんなやり取りがあったのか…?
そういった人々の複雑な思惑がある中で、ギレンは国民に犠牲を強いた形で、強引かつ無謀とも言える策を推し進めていった訳ですから、誰かがギレンを暗殺しようと思っていたとしても、考えられない話ではありませんよね。
本作品はそのような、ジオン敗戦の真実について書かれた極めて貴重な資料(作品)であると言えるでしょう。ガンダムに残された数少ない「謎」にチャレンジしている感じでしょうか。
大胆な仮説(ギレン暗殺計画)を立ててストーリーを展開し、主人公にその謎を解かせていくいわばサスペンスなのですが、非常に客観的な考察と緻密な分析が物語のベースにあるので、とても信憑性のあるストーリーに仕上がっていて、自然に受け入れる事が出来ます。
また、前後の作品を否定する事なく、むしろ尊重し、コアなファンの考察にも耐え得るだけの「ガンダムの世界観」も保っているので、非常に読み応えのある、正統派ガンダムと言って良いのではないでしょうか。
とにかく硬派なストーリーで、とても面白いです。
特に本巻では、ダルシア首相が非常に大きな役割を果たしていますが、彼が語る公国の政治背景や人物評などは、必読ですね。さすが、首相になるほどの人物です。
他にもグレミー・トトの出自やラル家のその後について語られるシーンもあるのですが、どれもが現実味を帯びた話で、ストーリーに引き込まれます。
短いシーンですが、ここも見所と言えるでしょう。
さて、物語はいよいよクライマックスに向かいつつあります。
ギレンの最期が分かっているだけに、これからどんな展開が待っているのか、とても楽しみです。
箱の中の世界・・・ギレンは神となることを目論んだのか?
★★★★☆
ギレン暗殺計画の第二巻です。
相変わらず淡々とした描写ですが、少しづつ状況が読めてきている感じでしょうか。
誰かの掌の上で全キャラクターが動かされている感じ。
案外ギレン暗殺計画ですら壮大な茶番なのかもしれないかなと
政治サスペンス好きな自分は想像してしまうのです。
とうとうキャスバル・レム・ダイクンが映像のみとは言え登場します。
キシリアが何故彼を生かしているのかがこの本独自の解釈でなされ
それにまつわる陰謀劇も開始されます。
独自に動くダルシア首相、そして意外なセシリアの過去と行動。
計画の真の首謀者は何者か?
劇中で暗殺計画関係者で登場していないのは
ギレン本人(今回映像の中で演説します)と首謀者のみ。
ア・バオア・クーまであと四日、そしてギレンが彼の地で死ぬのは確実なのです。
なのに手に汗握るこの展開。
ジオン・ダイクンは死ぬことによって神とスペースノイドに崇められることになった。
今回のギレンの演説を読んで正に死して名を残そうとする気概を感じたのは自分の主観か?
敗戦間近なのにズム・シティは平穏そのものです。
それもギレンが仕組んだ演出。
コロニーという箱庭の世界に漂う平穏さと一部の人間の緊張感。
ガンダムサブストーリーの中では一番異色のお話かもしれない。
1年戦争の舞台裏
★★★☆☆
ガンダムものには珍しいポリティカルサスペンスのシリーズ、その2巻です。
相変わらず、地味に暗い内容かと思いきや、レオの脱獄の下りはちょっとユーモラス。
物語の進行に合わせ、過去のガンダム作品の色々なエピソードがクロスしてくるところが良いです。
『0080ポケットの中の戦争』のルビコン作戦や、ペズン計画、グレミー・トト、名前だけですが、サハリン家(08小隊)、ラル家などもチラリと登場。
そして、キシリアとシャアのあの会見の話も登場。暗殺計画・実行部隊に大きな影響を与えます。
今回、コミックのオビにもあった「初のMS戦」はほんの一瞬で終了。
MS関連のネタといえば、ズムシティの模型屋が出てくるのが面白いです。
ドズル様追悼記念のプラモとか、ランバ・ラル隊のGI人形とか。(笑)
この手の生活感が、地味ながらも飽きない内容にしてくれています。
ただし一般ウケはしなさそうなので、★3つです。
◎お気に入りの1コマ
P199.下段。見上げた空には街明かり。コロニーの風景です。
ここの「灯火管制」のエピソードも好きですね。