欲望ゆえの苦悩
★★★★☆
欲望と苦悩の関係について多くの鋭い指摘があります。問題なのは苦悩ではなく欲望であり、絶えず何かを求める人の姿をはかなく感じてしまいます。宗教は神の存在によって、世界観や人生観に影響を与えますが、本書は論理と読者の経験、認識によって影響を与えます。場合によっては精神安定剤のような役割を担うと思います。また、普段の生活の中では気づかないような極端な見解が多いですが、それらは本質とは言えなくとも一つの側面であると納得するような指摘ばかりです。他にも、才能、芸術、正義、死など様々なテーマについて解説しています。現代にはこのような事を述べる人は居ないので、読める事が幸せです。