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ケルトの白馬

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: ほるぷ出版
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己の運命を担うということ−点と線の彼方へ ★★★★★
 サトクリフの作品は、彼女の人生が避けることのできない障害を背負い続けたことと無関係ではないように、担わざるを得ない運命の星の下に生きる主人公を描く。それは過酷・激烈・苦渋・孤独・辛酸といった表現ではまだ足りないほどの、肺腑をえぐるような悲哀と共に、底知れぬほど深く強い、愛情・友情・信頼・信念・希望・祈りに支えられている。
 よく使われるのは兄と妹、男同士の友情、主従関係などであり、それゆえ家族の情愛、親友との触れ合い、職務と使命への忠誠などがモチーフとして選ばれる。しかし、主人公以外の人々も己の運命を担うという厳しい試練にさらされていることには、何ら遜色がない。それほど作品世界の登場人物たちは、「生々しい生」を生きている。

 この歴史物語は、単なる空想の産物ではなく、点と線を持ち、我々の心の中に深く入り込み、登場人物と人生を共にするということを実感させてくれる見事な短編である。緑濃い大地に刻まれた未来へ走り続ける白馬に託されたものは、サトクリフのどの作品にも通じる凝縮された「彼方への思い」である。
最後の2行。 ★★★★★
「ともしびをかかげて」のように、20‾30年かかって主人公がゆっくり変わっていく大河ドラマの味わいから見れば、これは10代の少年の瞬くような短い時間の物語です。
それでもこれも小品ながら、サトクリフ作品らしい、「なにかを引き受ける」ひとのお話です。本棚の奥にしまっておいて、時々取り出して読んで、胸うたれる。

ちょっと変わり者でまわりからうさんくさい目で見られている主人公には、幼馴染で無二の親友がいるのですが、私は彼よりも、主人公の部族と敵対する部族の若い長の方が好きです。
味方よりも、決して相容れない立場の敵の方がその真価を分かるってのは哀しい。状況が違っていたら、きっといい友だちになれたと思うのに。
本当にあったことのように思う ★★★★☆
ナスカの地上絵のことは知っていてもイギリスの丘陵地帯にこのようなシンプルで力強い馬の地上絵があることは聞いたことはなかったので、表紙に引かれて読みました。200ページ程の作品で大作ではありませんが、サトクリフの類い稀なる想像力は悠久の流れを超えて美しくも悲しい物語を見事に紡ぎだしたと思います。そしていつまでも静かな感動が残ります。
古代のブリテン島 ★★★★★
サトクリフの小説は、歴史として頭では分かっているつもりだったことを、
リアルな情景として、実感として、目の前にほうり出してくれる。
ケルト時代の物語を読むのは初めてではなかったけれど、これほど匂いのある、美しい情景があったなんて、
恥ずかしながら一度として考えたことがなかった。

そして、こんな風に生きた人がいたかもしれない、なんてことも。

本は薄いし、決して明るい話でもないけれど、読み終わったあとは余韻がいつまでも消えない。
さまざまな人の営みの上に、歴史は積み上げられてきたのだということ。
それを実感すると同時に、自分は歴史の中に消えていっても、自分の内面を「白馬」として、

時間の流れを突き抜けて現在に残るものにした主人公のわざに、人の強さを見た気がした。

美しく胸のつまる愛 ★★★★★
知らなかった、知らなかった。
昔、サトクリフを読んだときには、いやにおもっくるしいなあと思った記憶があるんだが、これほど透明感あふれる美しい話の作り手だったのね。
ケルト時代の英国の話だけど、歴史小説というよりも、高級なボーイズラブの小説といったら、怒られるかなあ。
読み終わってしばらく口がきけないほどの衝撃でした。

ぜひ読んでください。おすすめします。