簡潔、そして熱い!
★★★★★
ものすごく熱い物語。
だが、実は猛烈な戦闘場面は物語の序盤にしかない。
その後、主人公が転落を経験してから、本当の冒険がはじまるのだ。
見事な展開に唸らされる。
舞台はローマ時代のブリテン島。
植民者というか侵略者の側に主人公は立っているわけだが、上の「転落」を契機に
その立ち位置を自覚していくことになる。
そして、同時に先住民の側に立つ相棒と深い絆を作っていく、その過程がとても
スリリング。
「失われた誇りは、いかにして回復されるのか」
これがテーマなのだろう。
連戦連勝の主人公を描くような少年マンガを除いて、「男」が頑張る物語は、
このテーマがあってこそ熱く読めるのだなあ、そう強く思う読書経験だった。
リアルで深い物語
★★★★★
紀元117年頃、ローマのヒスパナ軍団が北に向けて進軍し、
その後霧の中に消えるように消息を絶った、という事件は実際にあったことで史実なのだそう。
まず四千人以上もの軍団が消えたというのが不思議で、
事件の真相が語られるシーンは特に興味深く読みました。
またローマンブリテン時代の知識がなくとも、
読み終わるころにはこの時代のブリテンの事が分かる(と思ってしまう)くらいに
風俗や習慣がリアルに分かりやすく描かれています。
ローマの支配が及ばない防壁の北側と、
支配はされているが完全にはローマ化してない南側、
時々出没して民衆の放棄を煽るドルイド僧……など、この時代のブリテンの情勢もわかります。
北の氏族が敵ではあっても悪者ではない所も良いです。
2010年に映画が公開されるそうで、ちょっと楽しみです。
清々しい物語
★★★★★
ローマ帝国を背景とした小説を探していて、偶然この本を見つけました。
最初は、児童文学という事で軽い気持ちで読んでいましたが、魅力的な登場人物と良く練られたプロットそして、ブリテン島の美しい情景の描写に引き込まれてしまいました。
物語の中で、主人公であるローマ人のマーカスに彼の友人であるブリトン人のエスカが、ローマの文化とブリトンの文化が相容れないことをマーカスの身に着けている短剣の鞘の規則正しい模様と彼の持っている楯に彫られた流動的で生命のある曲線を比較して説明するシーンが、私にとっては、非常に印象的でした。
マーカス・アクイラ
★★★★★
主人公の名はマーカス・アクイラ・・・マーカスは鷲、アクイラは旗の意味・・・まさに第九軍団の鷲なのですね・・・・ハドリアヌス防壁の彼方での冒険。アクイラ一族500年の歴史が開幕します。
ワシってなに?と思いながら読みました
★★★★★
淡々とした孤独を抱きながらも、父の様にローマ軍のために生きることを目標と定めた有能な百人隊長、マーカスの夢は、戦闘によるケガであっさりと崩れ去ります。
目標を失い途方に暮れるマーカスの日々に、奴隷でありやがて友となる、ナイリとの出会いが彩りを取り戻していきます。
父がかつて率いたまま帰らなかった第九軍団の象徴、「ワシ」の存在を知ったマーカスは、それを奪還すべく、ナイリと共に深くブリテンの奥地へ旅立ちます。
闇の洞窟、未知の部族、霧の沼地…二人を迎える冒険に息を詰めながら読み進みました。
短くシンプルな文章で、驚くほどリアルな世界、人生が綴られています。