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運命の騎士 (岩波少年文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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中世、騎士について知りたければ百の解説書を読むより、一冊のサトクリフ ★★★★★
中世の騎士について書かれた作品は膨大な数に上る。

だが、中身がかぶっていたり、博物館の写真を並べただけだったりと、どうにも全体像が掴みにくい。

決定的な一冊は無いものか、探し回っていた私は図書館で何の気なしに手に持ったこの作品に打ちのめされた。

完璧だ。司馬遼太郎以上の緻密さと池波正太郎以上の描写がこの作品にはある。

児童文学と言うことだが、何を、大人こそ読まなければいけない作品だ。中世のイングランドを主人公の少年ランダルを通して充分に感じ、味あわせてれる。

読了後、胸に残るのは爽やかなイングランドに吹く風だ。見渡す限りに広がる小麦畑、黄金の丘を揺らし、人々に恵みを与える風、最高。

久しぶりに本を読んでいて良かったと思える作品に出会った。週末に是非!
ノルマン朝のブリテン島―栄光とその代償― ★★★★☆
時はノルマン朝のブリテン島。島にはサクソン人、ウェールズ人、ノルマン人など様々な人々が暮らしていました。孤児のランダルはアランデル城の犬飼いでしたが、日々人々に蔑まれ、鞭打たれながら孤独に暮らしていました。しかしある時、楽人エルルアンによって騎士ダグイヨンの下に預けられます。領地であるディーンでランダルは騎士の孫のべービスの小姓に、そして無二の親友になります。そこでの生活を通してランダルは自身の人間不信や逃げる癖を克服し、人間として成長していきます。一方、ランダルにとってもまたイギリスにとってもいよいよ決戦の時を向かえます。タンシュブレーの戦いでかねてよりディーンの荘園を狙い、またベービスを殺したド・クーシーとの戦いにランダルは勝ちます。またこの戦いの勝利でイギリス側が勝ち、ノルマン側の反乱も終息します。この戦いでランダルは騎士になり、またディーンの領主になります。またブリテン島でも「イギリス人」が誕生し始めます。しかしこのような新しい出来事の裏には多くの犠牲、ランダルにとってはベービスの死が横たわっています。人の何らかの栄光・達成には何らかの代償を払わなければならない。ランダルは戦勝気分に酔いしれることなく、秋の種まきの季節を迎えます。
 生き生きとした描写がみごと ★★★★☆
 私たちは当たり前のように、「イギリスにいるのはイギリス人」と思っていますが、900年前にはまだ、先住民族のサクソン人とか征服者のノルマン人などの区別がありました。それらがまざりあってやがて「イギリス人」になっていく、ちょうどその頃の物語です。イギリスという国の成り立ちについて興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

 この物語はランダルという犬飼いの少年が紆余曲折をへて騎士になるまでの成長のドラマです。故郷と呼べる場所にたどりつき、あるじに忠誠を誓い、友情を知り、敵と闘い、大人になっていく過程に、読む人も自分の人生を重ね合わせることができます。また、当時の騎士の習慣や荘園の生活、風俗などが細かく描かれていて、その頃の人たちはこんな暮らしをしてたんだ、と想像しながら読むのもおもしろいと思います。

 児童文学ということになっていますが、大人が読んでも十分楽しめる作品です。

少年の成長と友情と涙の物語 ★★★★★
時代は、有名な12世紀のノルマン・コンクエストのすぐ後の話である。ヘイスティングの戦いでエドワード王を破ったノルマンディー公ギヨームは、ウィリアム1世と名前をかえ、イングランドの王位に着いた。物語は、彼の死後、王位継承をめぐって行われる彼の息子たちの戦いの前後に始まる。

 犬飼のランダルは、人が嫌な気分であれば蹴っ飛ばされ、鞭で背を叩かれるという境遇で、精一杯、楽しく生きていた。ところが、ある日、城主の馬の頭にイチジクをおとすという失敗で、ひどい目にあおうとする。

 そこへド・ベレーム公のお抱え楽人エルルアンが、チェスの戦いで勝利し、ランダルを救い、連れて行く。そして彼の信用できる相手にランダルを預ける。
 エルルアン「楽師というのは不安定な身分!!ですしね」

 ランダルは、違う土地で物事を学び、最終的には先住民族の墓のあるディーンの土地で騎士の侍従という地位とベービスという親友を手に入れる。

 人の目から逃れるように生きてきたランダルが、欲深い騎士チボーからディーンを守るために勇気をふりしぼって駆け引きする姿は感動モノである。
ディーンの城主エベラート・ダグイヨンは「お前の歳であんなに恐ろしい相手を敵にまわすなんてはやすぎるぞ」と叱咤しつつも誉めてはもらうが、それが、結果的に彼に数々の悲劇と運命をもたらすことになる。

 これはランダルの成長の物語である。少年が大人になり、そして大地と結びついて、所領をもつ騎士へと続く道程の物語だ。
 サトクリフの作品は、「ともしびをかかげて」「第九軍団のワシ」等が高い評価を受けてはいるけど、僕の中では最高傑作はこの作品である。

 小学生の頃に初めて読んで、もう何度読み返したのかわからない作品である。児童文学に分類されるけれど、読み返すごとに、ブリテン島の文化を学ぶごとに、感動が深まっていく作品だ。