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辺境のオオカミ (岩波少年文庫)

価格: ¥798
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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男くさい話 ★★★★☆
サトクリフのローマ・ブリテン シリーズの最後を飾るのがこの本。
主人公は、アクイラ家の軍人であることは前三部作と変わらないのであるが、物語の雰囲気がだいぶ違って感じられた。
ブリテンの美しい自然情景の描写と登場人物の心の再生のモチーフ物語は、今回も踏襲されているが、家族とか血縁の人々の関わり合いの部分が今回は無い。
過去に誤った判断を下しその結果、多数の部下の命を失うこととなった指揮官が、新天地のブリテンで指揮官として人間として成長していく話である。
なんというか、非常に男くさい話である。

作者のサトクリフが女性でありながらこの様なストーリーを活写する事ができた事は、それだけ彼女の人物造形の才を物語っているのだろうとも思う。
しかしながら、前作”ともしびをかかげて”に登場した主人公を取り巻く女性たちの人物的な魅力に好感をっ持っていただけに、女性の登場人物がほとんど存在しないのは、非常にもったいない気がした。
もっとも、これはそういったお話ではないと言われたらそれまでだが。
ローマン・ブリテン 第四巻―アレクシオスの人生― ★★★★☆
アレクシオス・フラビウス・アクイラは伯父の働きもあって着々と出世の階段を登ってました。しかし、ある戦で軍の規律に背く判断をした結果、多くの犠牲者が出ました。これによりアレクシオスは帝国領ブリテンの辺境に左遷されます。辺境のオオカミ第三部隊を指揮することになり、部下の忠誠を得ることに苦労しつつも生活にも慣れ始め、またヴォダディニ族のクーノリクスと親しくなります。しかしあるとき本国より検査のための部隊が訪れたとき事件が起きます。クーノリクスの弟がこの部隊の司令官にいたずらしたことでアレクシオスはこの弟を処刑します。これまで友好的だったヴォダディニ族そしてその他の氏族がローマ軍を攻撃してきます。アレクシオスはどうしようもないほど少数の部隊を連れて撤退を開始します。川の水の冷たさやその流れに身をさらしつつ南下しますが、ついに運命のときが訪れます。友との一騎打ち。アレクシオスは部下のための友情という私情をおしつぶしてかつての友を刺します。他の氏族の攻撃は本国の軍が駆けつけたこともあって弱火となり、第三軍団を守ったアレクシオスはかつての汚名を返上することができました。
左遷や友との戦いなど人生の困難に対峙して勝ち抜き、自らの生き方を見出すあるブリテン島の司令官のお話です。
オオカミたちの闘い ★★★★☆
 若く未熟なローマ軍é'å¹'将校が挫折ã‚'ä¹-り越え,
辺境の砦の司令官とã-て成長する過程ã‚'描く。
æ...£ã‚Œãªã„任地へèµ'き,部æ-ã®ç¿'æ...£ã‚'理解ã-ç¿'熟するうちに
彼自身の中に辺境守備隊「辺境のオオカミ」とã-ての目覚めが・・・。
 自分のマントとなる毛皮ã‚'とるためのオオカミã‚'狩る通過儀礼,
ラグãƒ"ーやポロの発祥ã‚'思わせる子牛の頭ã‚'奪い合うゲーム,

冬至の祭り,æ-é•·ã®è'¬å„€ãªã©å¤ä»£ã‚±ãƒ«ãƒˆã®åœŸç€ç¿'ä¿-が,
いま目の前で繰り広ã'られているかのように描写される。
 æ•-残のå...µã‚'まとめ,æ'¤é€€ã™ã‚‹ãã ã‚Šã¯
ç"¨å...µå¥½ãã«ã¯ã"たえられないものがあり,
追うものと追われるものの緊迫感がみなぎる。
 物語の転機となる事件も,主人å...¬ã®é‹å'½çš„な転機ã‚'迎える事件だã'に
話運びが実にうまくでã!ã!¦ã„る。

 ã-かã-,主人å...¬ã‚¢ãƒ¬ã‚¯ã‚·ã‚ªã‚¹ã¨æ-é•·ã®æ¯å­ã¨ã®å‹æƒ...と
対立ã-なくてはならない苦悩がもっと描かれたら・・・と惜ã-いæ°-もする。

 追われるè€...といえば「第九軍団のワシ」だが,
ã"れにæ¯"べるとローマとãƒ-リタニアの部æ-ã®æ"¿æ²»çš„な背景が
力の均衡などがよく描かれているので,
「第九軍団のワシ」ã‚'読ã‚"だ人なら,ã"れã‚'逃す手はないと思います。

 また,映ç"»ã€Œã‚°ãƒ©ãƒ‡ã‚£ã‚¨ã‚¤ã‚¿ãƒ¼ã€ã‚'観て興å'³ã‚'持ったæ-¹ï¼Œãœã²ã"一読ã‚'。
最初のï¼'0分のガリア遠征の戦いのシーンは
まさに「サトクリフのä¸-界」です。

「銀の枝」と「ともしびをかかげて」の間に位置する物語 ★★★☆☆
若い将校アレクシウスは甘さから撤退の時機を誤り、味方に大打撃を与えたため、正規の軍団から土着色が強い独特の部隊「辺境のオオカミ」の指揮官へと飛ばされる。給料は遅配、使えない補給物資。帝国の衰えは明らかだが、アレクシウスは砦での生活を通じて「オオカミ」の一員としての誇りを抱き始めた。やがて辺境氏族の大反乱がおき、アレクシウスは仲間たちの命のかかった決断を、またも迫られることになる。始まりの戦の場面から、情景描写はさすがサトクリフ、読み手を引きずり込むようなエネルギーに満ちています。その一方で主題のほうは、ロマンスもなく勝利もなく、ひたすら敗軍の将が負うべき「責任」とはなにかを追求した、かなりストイックな作品となっています。その結果、主人公の描き方や強い個性や魅力を表現しきれず、どうも「理想的な人物」に留まってしまったように思われました。また会話の部分に会話としてうまく噛みあわないような翻訳がちらほらあるのにも引っかかり、やや評価が下がっています。高校生以上向け。
ローマンケルトシリーズ最後の書 ★★★★★
この本を心待ちにしていた人は沢山いるだろう。
極上のスペクタクル映画を見ているような気分にさせてくれるのは、他のシリーズと同様だ。
舞台はローマの属州となっているブリタニアの辺境(現在のスコットランド)である。ケルト民族の血を引くローマの軍団兵が死力を尽くしてブリテンの辺境から敗走する物語は、暗いテーマであるにも関わらず、4部作の最後を締めくくるにふさわしい。何世代にもわたって登場してきたイルカの紋章の指輪を填めた最後の「アクイラ」の旅は失意と後悔によって始まる。だがその旅の上には躍動感や緊張、友情や運命による離別の苦しみなど、人が生きる上で経験する極色彩のドラマが生き生きと描かれる。
その手際の良さと重厚感はさすがと言うほかない。女性である上手足が不自由であったにもかかわらず、歴史の片隅で力の限り戦う青年を描き続けたサトクリフの情熱的な人柄が行間からにじんでいるようにさえ思える。
児童書の枠の中で扱われる事の多い本だが、大人にとっても上質のエンターテイメントとして楽しめることは言うまでもない。翻訳も上品で非常に読みやすい。
難を言えば相変わらずやたらに重いくて大きいハードカバー装丁で、持ち歩くことが困難なことと価格が高いこと。この装丁は本当に何とかして欲しい。日本の住宅事情がわかってないのか?岩波さんは。せめて新書版のペーパーバック版も出せばさぞかし売れ方が違うだろうに!
とはいえ中身は保証付きなので、サトクリフを知らない方もこの機会に是非ご一読を。