本地垂迹説のわかりやすい解説
★★★★★
著者の『神・仏・王権の中世』の内容を、一般向けに書いたそうです。
『神国日本』は本書のダイジェスト版といったところ。
題名の『アマテラスの変容』から想像するより、日本の神祇信仰の変容と捉えた方が良い。
氏族の先祖神的な氏神信仰から、宇宙の中心に存在する阿弥陀如来との仏達の関係。
火宅の住民たる民衆の救済に働きかける神仏の関係性こそ、本地垂迹説の本願であると本書を読み、
初めて理解できた。
鎌倉新仏教(念仏宗など)と呼ばれる運動は、民衆と本地仏との関係が南無阿弥陀仏の称名を通し、
直にがるとするのが画期的であった。
念仏宗の神祇不拝の行動が垂迹の神仏(諸天)の媒体を必要としないためである。
本書では指摘されていませんが、中世の念仏宗の方向から、幕末近代の教派神道が創生神の奉祭を意図する方向性へ、
一本の線がつながった。