本書は、他の人間学講話シリーズに較べて難解な部分が多いと感じました。
本書を読む前に、是非、他の人間学講話シリーズ「知命と立命」「運命を創る」を
読むことをお勧めします。
宇宙全体の調和を「大和」として、国家、人格、経済などを論じていますが、
論じている内容は、他の人間学シリーズと一緒です。
その点では、安心して読めます。

　安岡正篤には珍しい書き出しの本だ。普通なら中国の古典を踏まえて人生の極意を語るスタイルをとるのだが、本書では冒頭から社会問題、特に戦争の愚かさを、思いがけないほど熱く、非情に熱く語る。昭和３０年代の半ばの話だと思われるが、イラク戦争の行われている現在（２００５年）にピッタリで、新鮮そのものである。
　そのうえで「大和（やまと）」＝「だいわ」の心を説く。読んでいるうちに聖徳太子の「和を以て貴しと為す」に改めて意識が向き、日本の国がよく分かってきて興味深い本だ。