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悪霊 (下巻) (新潮文庫)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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キリーロフ  ★★★☆☆
 第三部・第六章労多き一夜・2の描写は凄いと思う。狂気とユーモア。この30ページに悪霊が凝縮されていると思う。
ヴィスコンティのあの映画のあのエピソードは・・・ ★★★☆☆
ひとつすっきりしたこと!それはヴィスコンティの怪作【地獄に堕ちた勇者ども】の中でも特に奇怪な、H・バーガー扮する主人公と少女の挿話の、元ネタがこの「悪霊」の最後の「スタヴローギンの告白」だったこと!
一つの謎が解けて大変すっきりしました。あの映画のあの挿話が消化不良の人は、この「悪霊」の最後の部分だけでも、読んでみるとよいでしょう。
それから題名の元ともなっている、「人から悪霊が豚に乗り移り、海に落ちて溺れた」という新約聖書のたとえ話。これはいかなる時代にも、不気味にこだまするように思えるテーマで、さすがにうまい題材を選んだものだと感心します。
本全体は、上下を通して人物に思想を代表させるという方法が、いまひとつ機械的に感じられ、一人一人の人物への興味が湧きづらい。下巻から読み始めるという方法もありかと思います。「罪と罰」や「カラマーゾフ」に達していない理由はそこにあるのかもしれない。
ただ、下巻の、ステパン教授が愚鈍な聴衆と対決して発狂する部分、工場への放火、シャートフの妻が帰還してからのあたりは、サスペンス十分の展開で、まさに当時のロシアの混沌を捉えた緊張感がある。
スタヴローギン ★★★★★
 荒廃したロシアに生まれた悪霊「無神論思想」。その中で頭角を現した怪物的カリスマ「ニコライ・スタヴローギン」。完璧な能力、隙のない計画、強力な組織、そんな彼の野望を止めるのは誰もが不可能に見えた。だが・・・
 人の不幸を至上の喜びとする彼が、若いころに白痴の女性に見せたたった一つの優しさ。それが彼の破滅への鍵となる。
 新約聖書を背景に語り紡がれる悪霊の調べ。巨匠の作り出した久遠の暗黒世界に、光が満ちた朝は訪れない・・・
歴史的傑作 ★★★★★
 物語が終了してもなおおおくの謎を秘めているという感じです。とくに組織のリーダーであったと思われるピョートルが今後どうなってしまいうのか、そもそも、この組織とは一体なんであったのかさえ十分な説明がありません。しかし、ドストエフスキーの思想については遺憾なく強く、深く表れている作品であると思います。
 僕が注目したいのは、死の直前、破滅の直前に際した人物が一様に何かを悟るということ。キリスト教的な「愛」のようなものを感じ取っていきます。そして、皆「神」に感謝し、自分の罪を懺悔します。
 これこそが歴史的過渡期を迎えていたロシアにドストエフスキーが期待していたものなのではないでしょうか?
 悪霊に取り憑かれた豚が湖に飛び込んで自殺していくように「新思想」「無神論」に取り憑かれたロシアをキリスト的人物、すなわちスタヴローギンによって、破滅からの再生を願っているのではないでしょうか?
 スタヴローギンは悪魔、悪霊であると同時に、救世主であり神であったように思えます。あの中で正気を保っていたのは彼とダーリヤだけでした。彼はキリスト的な、彼女は聖母マリア的な存在であったと感じました。
 ドストエフスキーは「ロシア的」なもの、「ロシア」自体を憎んでいた。そして、同時に最も愛していたのも「ロシア」だったのではないでしょうか?そういった二律背反性がスタヴローギンという悪魔と神を持つ、悲劇的な人物を生み出したのではないでしょうか?
文豪が作り出した最も深刻な悪魔的超人 ★★★★★
ペテルブルクでは無頼どもの頭目であり、幼女を陵辱し、優れた知性も精力もありながら「自分はなぜ生きているのか」という意義を見出せず、自殺するスタヴローギンは、文豪が生んだ最も深刻な人間像である。個人的な読み方に過ぎないが、文豪の処女作「貧しき人々」の少女ワルワーラは、結局文通をしていた小役人マカールと別れ、金持ちブイコフに身を委ねる。そこでスタヴローギンの母親の名前もワルワーラである。母親は息子に会うと恐ろしい気分に襲われて直視できない。なぜか。この母親は処女作のいたいけな少女のなれの果てとして造形されたのではないだろうか。愛のない行為で出生した人間に存在意義を求めるのは無理である。まるでスタヴローギンは母親になった少女に復讐をしているかのようである。出版の際に削除されたチホンとスタヴローギンの対話は、信仰者とニヒリストとの直接対決であり、本書の圧巻である。文豪の作品の中でも完成度が高い。