ハードSF〜ホラーまで。広義のSF短編集
★★★★★
単行本「審判の日」を文庫化に際し改題したもの
ハードSF〜ホラーまで。広義のSF短編集
『闇が落ちる前に、もう一度』
「現実崩壊」ネタの変種+「終末」ネタ
極大エントロピー宇宙モデルというアイデアが光る!
『屋上にいるもの』
超能力+ホラー
明確なオチのあるホラーだった
幻想性の高い作品も良いが、こういうハッキリとしたのも好きだ!
私としては超能力はものは広義としてはSFだが、狭義としてはSFではないかも
『時分割の地獄』
ハードSF(≒狭義のSF)
「アイの物語」のプロトタイプ的作品
しかし、それだけでは留まらない!
時分割というアイデアはおもしろかった!!!
『夜の顔』
「神は沈黙せず」の顔(≒神)は人間に対して無関心だった
しかし本作の顔は不条理だ
『審判の日』
『闇が落ちる前に、もう一度』の主人公もそうだが、本作の主人公も現実が崩壊することそのものは、結構あっさり受け入れる。そこで、いかに生きるかを模索する。
世界全体より、個人が認識している主観的な世界の方が大切ということか
卓抜したアイディアと巧みなストーリーテリング
★★★★★
『神は沈黙せず』とか『アイの物語』の作者の短編集。
ちょっとホラーぽくって怖いのもあるけど、審判の日とか表題作なんかは、とってもよく考えられている作品だ。
彼の長編もそうなんだけど、ただ単にアイデアがいいだけでなく、巧みなストーリーテリングでぐいぐい読ませていく。かなり、筆力のある人だと思うんだけど...
表題作は秀逸!
★★★★☆
「闇が落ちる前に、もう一度 」「屋上にいるもの」
「時分割の地獄」「夜の顔」「審判の日」
の表題作を含めた全5編の短編集。
同じ著者の「神は沈黙せず」等を読み、購入。
正直、著者の他の本に比べ少し個性が小さい様に思いました。
しかしその分、非常に読みやすい話が多く、引き込まれます。
やはり全体的にSF、ホラーといった要素が強い。
私見では、小林 泰三さんや乙一さんの著書と同じ雰囲気を感じたので
そういった本が好きな方におすすめです。
ただ、科学的・数学的な記述も多少ありますので苦手な方は注意を。
個人的に「闇が落ちる前に、もう一度 」と「審判の日」がお気に入り。
特に表題作でもある「闇が落ちる前に、もう一度 」は素晴らしかったです。
ネタバレになるので言えませんが、フィクションながらも
ホントにありそうな表現をされるので、読み終わった後に背筋がゾクリとしました。
この話のためだけでも買う価値アリだと思います!
注意!どこかで見たタイトルと思ったら...
★★★★☆
と学会会長の短編集。
どこかで見たタイトルと思いつつも、そんな本はもっていなかったので、ネットで購入。で、読み始めてみると、内容はすべて平成16年に出版された『審判の日』と同じだった!ネットで本を購入する読者も増えているので、せめて過去の作品の改題であることは明示してほしかった。本の巻末には改題であるとは記されておりますが、これでは買うまで気づきません。
同じ内容の『審判の日』については書評公開済みですが、ホラー・サスペンス仕立ての内容が多く、SFファン以外でなくても容易に読むことができると思われます。内容はやや甘めかもしれませんが、星4つです。とほほ。
SFファン以外の人にもお勧め
★★★★☆
「神は沈黙せず」の山本弘の短編集。それぞれのテーマーはことなるが、世の中の超常現象(霊現象含む)を山本流の解き方で明かしていくスタンスは、同一時期に執筆していたという「神は沈黙せず」と共通のものがある。
昔から、「と学会」のファンである俺にはよく理解できるのだが、一般の読者が呼んでどう感じるのだろうと不安に思う。
物語のどれもが、一般的なホラー・サスペンス的な状況から入り、徐々に山本弘ワールドに侵食されていく。
この快感は是非大勢の読者に味わって欲しい。