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神は沈黙せず〈上〉 (角川文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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オカルト・超常現象・宗教の統一理論 ★★★★☆
子供のころの不幸な事故から神に疑問を持つ女性が,
神とはなんだ?という命題に迫っていく手記という形式でストーリーは進む.

事実と作り話を織り交ぜた膨大な引用と,
進化的アルゴリズム,ミームといった概念,さらにはカルト宗教の問題や,
ネット社会の発展という現実になりつつある社会背景など,
雑多なファクターを織り交ぜた世界観はなかなかリアルに仕上がっている.
やや無機質なルポタージュ形式の文体が
いっそうリアリティを高めているのも好印象.

神の正体とは何なのか?
オカルトや超常現象まで巻き込むような1つの仮説が提示され,
ある種の確信を得たところで上巻は終わる.
「思考ゲーム」としては大変面白い。 ★★★★☆
大作なのは間違いない。
小説なんてのは基本的に「もし○○だったらどうなるか」みたいなことを考えて進めていく話だといえる。
僕なんかはどうしても、あまり大きな内容にするとぼろが出そうだからといって、舞台を小さくしてしまう傾向があるのだけど、この作品はその正反対。
とにかく舞台を日本全部(一部世界も)にして、「もし○○だったら」の範囲を広げていく。
そのバイタリティにまずは敬意を表したい。
そして、文章もうまい。これだけ、信じられないほど大量の情報を羅列されるとうんざりしてしまいそうだが、ある程度きちんと整理された物語の中で説明があるから、何とか読み通せる。

ただ、この作品はあくまで「小説」であって、意見を表明する評論ではない。
本書の中で、あえて創作ではなく実在の人名や理論、国名などを述べて登場人物に論じさせる部分がたくさんあるが、「小説」内部で「現実」と「創作」を曖昧にさせ、持論を展開して読者に印象づけようというのは、フェアな態度とは思えない。
小説内部においてはまさしく著者自身が神であり、その登場人物の言葉が「人々から嘲笑された」とか、「皆に称えられた」とか、好きなように評価することが出来るからだ。
もちろん、「そういった言説に騙されるな」という部分が著者の主張でもあり、「ちゃんと自分で考えろ」と人々に呼びかけていることは個人的には賛成なのだが。
世の中で信じられているおかしな説などをおもしろおかしく取り上げる「と学会会長」としての顔を覗かせたかったのかもしれないが、そこはきちんと小説家として分けて欲しかったと思う。

考えてみれば、著者はかつて「妖魔夜行 戦慄のミレニアム」という本でも「神」について真正面から取り上げている。
あちらは、妖怪ヒーローが戦う「ライトノベル」だが、あちらでの「神」の解釈も当時の僕にとっては衝撃的だった。
そちらも合わせて読むことをおすすめしたい。
読むために気力、体力が必要です ★★☆☆☆
最初は普通に読めていたのですが、途中で挫折して、最初は読了できませんでした。

筆者は主人公の能力にリアリティを持たせるために膨大な知識で武装させています。
ところが、そのネタに南京大虐殺を持ち出しています。この大炎上になりかねないネタから毒気を抜くこと無く、かつできる限り違和感なくネット上の論戦として正確に表現しようとした結果、説明文が急激に増え、物語のペースが落ちきてきます。その辺りで読むのが辛くなり、私の1回目の挫折となりました。
本作をラノベと思うと辛くて読めなくなるので、現在の言葉で書かれた古典的な大作として、認識していれば読むことができます。
小説のジャンルとは異なる、全体の構成や文体などによる読者との相性問題があり、読者を選ぶ作品のため、万人にお勧めできるものではありません。

2009年5月10日にレビューする。 ★★★☆☆
長い!

とりあえずそれです。
話が長いなら結構。
それが嫌なら上下巻の本を手にしません。

ただし、この本の長さはあまりに数多い事例のためだからキツイ。
1984年5月27日……………
1985年4月21日………………
1859年2月9日……………………
(何ページか事例が続く)
あれ、これ何の話?
主人公達が出てきて話が進む。
〇〇年〇月〇日………
〇〇年〇月〇日………………
(事例続く)
あれ、これ何の話?
トンデモ本の世界と同じに見えてきた。
でもこれはトンデモ本の世界じゃないぞ。
小説だ。

個人的にはかなりカットして良いように思えましたが、
ひぐらしのなく頃にをやった時、あまりにあまりに冗長なシーンにいらつく自分に
あれがあるから雰囲気の変わり方が良いと言う友人がいたので、
この長さが良いと思う人もいるかもしれませんね。

科学的考証や論理展開は分かりやすいので好きなのですが、
いつ誰がどこで宇宙人を見たという事例を立て続けに何ページも並べられると疲れますね。

論理的な話がダメだという人はこの作者の本を見ないですよね。
だからホントに
トンデモ本の世界を読んで
あのままの調子の小説が読みたいなら良いでしょう。
自分は何とか結末まで知ろうという気力で読めてる感じです。
大作ではある。が…。 ★★☆☆☆
私は山本弘のファンです。
SF、ファンタジー、ノンフィクションと、いろいろ読んできましたし、どれも好きです。
(つまんないな、と思ったのは「シ喰い魚」くらいか)
 
しかし、この作品はあまり面白くなかったです。
 
なんというか、「山本弘総集編」とでも言うべき作品でしたが…。
多くの総集編がそうであるように、「作品」として価値があるか、というと、なんとも。
 
私は山本弘のファンです。
 
なので、まだ山本弘のファンでない人には、まずこれ以外の作品を読むことをお勧めしたいです。
 
(以下、ややネタばれも含みます)
 
まず冗長。
 
山本氏の昔の作品「サイバーナイト2」で、地球連邦のフォレスト提督が、科学者に
「ロケットの推進剤を回収すれば云々」
って主張するエピソードがあります。
フォレストの無知ぶりを強調するためとはいえ、本筋と関係ないエピソードが入るのは冗長だな、と思ったのですが。
 
本作は、そういう冗長エピソードが4割くらい(主観)です。
世界各地で起こる、事実・架空取り混ぜた異常現象の詳細な描写(その大部分は本筋とはほとんど無関係)が、大量に語られています。
と学会会長でもある山本氏ならでは、とも言えますが、同じ超常現象の話でも、実際報告のあった事例なら読んで面白くても、架空の話となると…。
それをまったくカットしたらこの作品は成り立ちませんが、それにしても冗長すぎると思います。
 
「神」の正体も、やや拍子抜けでした。
 
「フェッセンデンの宇宙(エドモンド・ ハミルトン)」以来、何度も繰り返されてきたテーマです。(スターオーシャン3だってそうだ)
「何のために神は人間を作ったのか」に、「大した意味はない」というのは、山本氏の昔からのテーマでした(主にクトゥルフ神話関係で)し。
「科学研究のため」というのは、アシモフなんかも書いてますし…。(「人間培養中」「笑えぬ話」など)
 
グローバルブレイン云々というのは、作中でも言われるとおり、現代だからこそできる解釈でしょうが、「現代は特別な時代なんだ」というのはむしろ荒唐無稽に思えます。
「ウェッブの網目」が本当に観測されたならともかく、世界が整合性を持っているように見える私たちには、あまりピンとこない話です。
(「パイオニア減速問題」は実在の問題ですが)
それに、情報通信が発達したところへ入力信号が大きくなったら、個々の人間にかかる情報の負荷が大きくなりすぎて、ミームがちゃんと進化できないような。
環境が頻繁に激変する「ダーウィンズ・ガーデン」みたいなものかと。
 
南京大虐殺関係で批判する人もいるようですが、それは瑣末な部分にこだわりすぎかと思います。
(「加古沢は頭がいい」ってことを示すだけのエピソードで、「サイバーナイト2」のロケット推進剤と同じ位置づけ)
また、加古沢が「虐殺はあった」という立場で関心を持っていることも、別に人権とかではなく、むしろ悪趣味な理由であることが判明しますし。
(物書きを悪役にしたのは、さすが山本氏だと思います。筒井康隆とか、物書きはストーリー上の特権階級だものなあ(「朝のガスパール」とか「虚構船団」とか))
 
ラストも、これだけ大きな舞台を用意し、驚くべき世界の真実を暴いておきながら、最後は「友情と家族愛」に収束するというオチに肩透かしを食わされた気分です。
「時の果てのフェブラリー」以来変わらないテーマでした。
 
いや、その変わらない山本節が私は好きなんですが、2巻も使ってこれはあんまりだ、という気もします。