重大な事実誤認があります
★☆☆☆☆
文中、中野孝次氏の「ハラスのいた日々」について、70ページから78ページにかけて9ページもかけて考察されています(全体で189ページですからその約5パーセントです)。そして171ページを見ると、「中野孝次氏の家庭も、イヌを飼い出したのは子どもたちが独立して、再び夫婦ふたりきりの生活を始めてからのようだ」とありますが、中野孝次氏のご家庭が子どもに恵まれなかったことは、「ハラスのいた日々」を一度でも読んだことのあればすぐわかることです。考察の対象となる本を一度も読まずに、新書とはいえご自分の考察を世間に向けて発表されるのはいかがなものでしょうか。
蛇足ですが、29ページにおいて、
「生死に関わる恐ろしい体験」にさらされると、脳内ではアドレナリンを中心とした化学伝達物質が多量に分泌され・・・
とありますが、恐怖体験時に脳内で主として分泌されるのはアドレナリンではなくて「ノルアドレナリン」です。(アドレナリンは、主として腎臓の上にある副腎髄質という場所から分泌されます)
読む価値なし
★☆☆☆☆
タイトルと著者に惹かれて読んだが、全くの期待外れ。
精神科医が書いた本と言う事で、それなりの内容を期待したが、中学生並みの文章に辟易した。
似たような内容の話の繰り返しで、結論を述べていないのは、精神科医としての技量が無いからか?
昨今流行りのブログ本やアイドルが書いたタレント本だと思えば良いか・・(苦笑)。
月刊香山リカ
★★☆☆☆
あまりのハイペースで著作を刊行する仲正昌樹を揶揄して「月刊まさき」という造語があると
かないとか聞いたことがあるが、香山リカも彼に負けず劣らずの出版ペースであって「月刊リ
カ」と言っても過言ではない。しかも香山の場合は、中身は新書であっても時折ゴツい思想・
哲学も絡めてある仲正のそれとは違って、内容もよく言えば軽い(悪く言えば右耳から入って
左耳から出て行く)から、本当に月刊誌のように読んでいける。
これはネコを溺愛してしまう家族で育ち、自身もそうである香山によるイヌネコにしか心を開
けない人たちについての本。周辺の人のエピソードや、学者のネコ遍歴、動物愛護運動に潜む
問題なども要約して解説しているため、その辺について知りたいと思っている人は読んでもい
いのでは。ここらへん、上手くまとめてくるのはさすが、「月刊リカ」。
ただ、この辺のことについて、もちっと知りたいと思っている人には物足りないかも。例えば
香山は、イヌネコに溺愛してしまう人は「心のゆとり」があるのではなく「心のすきま」があ
るのだと論じるが、それってけっこう当たり前のことではないだろうか。男女問わず、イヌネ
コに没頭してしまい結婚願望を抱かない人々が増えているということだが、そうなるともはや
ペットって嗜癖なんだろうなぁ、と思った。
ペットを愛玩することに潜む病理学的な側面を、臨床医という立場にある彼女が、エッセイ風
のノリで次々と軽々しく断定していっていいものかという疑問も残るが・・・。
何しろ「月刊リカ」。これだけ本をぽんぽん出せるくらいなのだから、彼女の本は売れるのだ
ろう。
ペットブームの背景にあるのは「心のゆとり」ではなく「心のすきま」
★★★★☆
タイトルがいいですよね。けっこうイタイところをつかれちゃっていると感じている人は多かったりして。
言いたいことは第8章「なぜイヌやネコでなければダメなのか」に集約されている感じ。
昔は《ペットはその家庭の子どもの希望で飼われることが多かったのだ。ところが今は、そもそも子どもの数じたいが少ないので、ペットは最初からその家で飼われていることが多い》(p.168)、《熱狂的なイヌ、ネコ好きの多くは「子どもがゼロかひとり」「子どもがふたり」が分水嶺で、「子どもが三人以上」には「何よりもイヌ、ネコ」という人はほとんどいない》(p.170)、《性別や年齢を感じさせないイヌやネコに同化するように遊んだり笑ったりしているうちに、自分から性愛的な要素がどんどん薄れていくのを感じる》(p.174)
個人的にはけっこう納得的。
もう少し、学術的な本であってほしかったかな。
★★☆☆☆
表題が奇をてらい過ぎていて、表題だけ見ると、”よくテレビドラマで目にする変質的にペットに依存している人間嫌いの神経質な気難しい人の生体”を描いているようにも思えるんですが、
内容は著者の周囲で見聞きした「動物を飼っている人の生体」と自分自身のペット事情を書いただけの本です。
精神科医の香山リカ氏が書いた本だという事で、小此木啓吾先生の様な精神医学に基づいた内容の本を期待するのは大きな的外れだと思います。
フロイトやユングの学説などに基づいて、精神医学的な内容や、それに基づいた最新の統計、人と動物との関係の精神分析を期待した私がちょっと甘かったです。
そして、今どきの動物の飼い主に関して書かれてある事も、著者の思い込みが強いのではないかしら?
1、「ペットと一緒にいたいから就労時間の短い非正規雇用の職業に就く」←こんな事はごく一部です、自分の収入が安定していなければペットは飼えません。夫の収入が安定した主婦でペットを子供の代替えとして愛育している人、ブリーダーやコンテスト用のペット飼育者なら話は分かりますが。
それでも、こういう人は少ない方です。
2、「ペットの○○ちゃんだけが私を分かってくれる。と言って、人に心を開かない人が増えている。」←精神科医にしては客観性が無いと思いました。確かにペットを家族の一員として愛育する人は増えています。しかし、そう言った人達の大多数が「ペットの世界と人間の世界」とを線引きして社会生活を送っています。
現代社会においてペットとは、「限りなく人間に近い存在」なのではないでしょうか?
正確にいえば「ペットの○ちゃんだけが、無条件に私の愛情に答えてくれて、私に愛情を返してくれる。」と言う
「人間社会における優劣を決定する社会的地位やその他条件に関係なく、純粋に無償の愛を与えあう関係に依存している」が正しいでしょう。
それだけ、人間社会が病んでいる証拠でもあります。
3、有名人のペット愛好家の話。←雑学程度の話のネタにはなります。
4、動物愛護団体の話←う〜ん。そりゃ、いろんな考えの人が動物愛護活動をやっていますからね。「やさしい、心温かいボランティアの人ばかり」がボランティアをやっているのではないです。ボランティアの人に癒しを求めるのは間違いです(笑)
それは、人間のボランティアや病院で働く人達だって同じことでしょう?皆が優しい自己犠牲に満ちた人達ではないですから。
人間のボランティアでの人間関係のシビアさに懲りて動物ボランティアに流れる人もいます。
著者の言う通り「動物に癒しを求めている人」がボテンティアをやる場合も多いです。
ただ、大多数は「動物を救う事で、手助けする事で、自分を救っている」のです。
そして、どうしても新参者がボランティア団体に入りにくい状況になりやすいのは、動物を簡単に捨てる、車の様に買い替える人間の軽薄さに、同じ人間として怒っているからでもある。心に人間社会のモラル低下への怒りから、閉鎖的になる事があるからでもあるんです。
それから、「団体を維持する為の動物愛護活動」と言うのは、今はNGO活動が公的に認められると、ある種のメリットがあり、その為の愛護活動もあるんです。
色んなしがらみが嫌いな人は、一人で愛護活動を行っています。
海外の動物愛護団体等はもっと過激な団体もありますし、地域コミュニティの中に当たり前の様に溶け込んでいる団体もある。有名なPeTA等のHPも参考にしていただきたかったです。
この本で一番納得したのは4コマ漫画の「真面目そうなボランティアの女性が動物に里親を出す漫画」でした。
5、里親とボランティアとは一定期間文通をする←今は動物虐待や、里親詐欺があるからです。ネットで猫を殺す状況を中継した事件があった事等から、動物愛護法が強化され、色々警戒することがあるんです。
いろんな面で、精神科医と言うより女性エッセイストの文章だと思いました。それだけ。
2、