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新・平家物語(十五) (吉川英治歴史時代文庫)

価格: ¥777
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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あわれなるかな、廷尉義経・・・・。 ★★★★★
壇ノ浦の戦捷に沸き立つ源氏方陣営。しかしながら九郎義経は
その勝利を素直には喜べませんでした。いとけなき安徳帝の最期、
知盛や教経のような花も実もある名将たち、そして多数の無辜の犠牲を
強いた宇治川この方の一連の源平争乱・・・・。

院方との接近ぶりや戦場に於いての指揮系統や独断を梶原景時に
讒され、ついに九郎義経自身が追討の身の上となります。
度重なる鎌倉・頼朝の仕打ちに惻々と身上の潔白と忠誠を
綴った「腰越状」。なるほど・・・・判官贔屓にも頷けます。
昨日までの武勲赫々たる凱旋将軍九郎義経はついに都を落ち、
流亡の日々を余儀なくされます。扈従するのは
弁慶、義盛、有綱、正近といった草莽の頃からの水魚の交わりの股肱たち、
加えて愛妾・静御前。

但し、ここまでの鎌倉方の対義経への対応は実に底意のあるところで
院の勢力を完全に排除し機能を停止させ全国へ鎌倉幕府新政の
亀鑑を知らしめ透徹させるべく、院方の象徴とも云うべき九郎廷尉義経が
スケープゴートに選ばれた感が強いですね。そうでなくてもこの有能で
人望の厚い「将軍」に頼朝は恐れと焦りを覚えていたはずです。
勝者である鎌倉方の正式記録「吾妻鑑」も義経には同情を寄せた筆致です。

捕われの身となった静御前が鎌倉で頼朝・政子夫妻の前で、舞を披露し 
離ればなれになった義経への切なる想いを列座の諸侯の前で
臆さず詠います。体面上、不興の言葉を荒げる頼朝ですが、
心底は如何許りだったでしょう?静にとって鎌倉は
‘かなしみの府’以外のなにものでもなかったようです。
さて残すところ次巻のみ、壮大な物語の結末とは如何に・・・・。