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新・平家物語(十二) (吉川英治歴史時代文庫)

価格: ¥777
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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急襲屋島、九郎義経の戦術の冴え・・・! ★★★★★
神器奪還こそ果たせなかったものの、
名だたる平家の公達を討ち取り、源氏の兵馬の前に
平家を完全に沈黙させた九郎義経でした。
一見、奇策とも思える作戦行動ですが、
義経なりの理由があり、それを時を移さず実行し
勝利を見事手中に収めます。

「一の谷」の戦後、義経は都に駐留し治安維持や
守護の任に着きます。昇殿に相応しい官位も除目されたものの、
長袖者流の交際は義経の得意ではなく、この間、徒に平家に回復の時を
与えたに過ぎないものでした。
西国の平家追討には蒲殿・源範頼が当たるのですが、
戦況は捗捗しくありません。
鎌倉の頼朝もこの頃既に、義経の軍事指導者としての卓抜した統率力や
才能を見抜いていました。そしてその才能が権力と結んだ時の恐怖や威力は
頼朝をして密かに義経を遠ざけることになり、
兄弟間の温度は次第に冷えてゆきます。

範頼軍の不調に業を煮やした頼朝は院に奏請しついに九郎義経へも
平家追討の院宣が下ります。時に新春、文治元年1月の事。
大暴風雨の中、精鋭150騎を選抜し摂津・渡辺の津を出航、
荒波の波頭を越え阿波勝浦に上陸し水軍の戦支度に余念のない
平家方の裏を見事に欠きます。

山すそを縫うように屋島陣営に接近し急襲出来たのは、
以って寡兵ゆえの事でしょう。見事というほかありません。
もはや平家陣営にも厭戦感が漂い、義経を相手に戦をすることすら
覚束ないありさまです。
九郎義経の壇ノ浦での超人的な活躍が次巻となります。




もののあわれ ★★★★★
栄華を誇った平氏。
清盛の五男の重衡は源氏にとらわれる。

少しでも一族の罪が軽くなれば、
自分が罰を受けることで他の家族が
守れるならば、と死を甘んじて受け入れている。

読んでいくうちに平氏に同情してしまう。
栄華と滅亡。
もののあわれを感じました。