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新・平家物語(十三) (吉川英治歴史時代文庫)

価格: ¥777
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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壇ノ浦前夜・・・・・。 ★★★★★
平家一門の前進基地であり、安徳帝の行宮も所在している「屋島」。
精鋭とはいえ、わずか150騎の義経軍の襲撃に一門は算を乱して海上に逃れます。
如何に天の運に恵まれ、時流に乗り騎虎の勢いの源氏方とはいえ、
冷静さに欠く平家の戦ぶりです。

もっとも、源氏方は戦闘のみの鉄甲軍団ですが、一門の中には
それこそ幼い安徳帝や女房衆やら非戦闘員も十分含まれていたため
機動力には自ずから限界もありました。疎開している一家・・・なわけです。
それでも、陸の源氏に対し海の平家、水師には一日の長があったはずが、
熊野水軍や阿波民部の離反が戦況に大きく響いてきます。
那須与一の扇の的や逆艪、義経の弓流しのくだりなどは平家物語の
ハイライトというべきものです。
吉川先生の美しくも床しい筆致が堪能出来ます。

今や敗色濃厚な平家一門の中で、紳晋の侠・平時忠だけは
なみの月卿雲客とは違い、一門の存続や何より安徳帝の玉体護持に
義経方とのギリギリの和平を工作します。この人の去就は今後も
気になるところですね。
本来、こういう政治的な判断は一家の総領・平宗盛が行うべきなのですが、
どうもこの総領宗盛は優柔不断で指導者として武将としても、
一歩も二歩も相国清盛には及ばない、不肖の2代目でした。

悲壮な覚悟を胸に平家一門は源氏と雌雄を決するべく
本営彦島を抜錨し舳艫を連ね、田ノ浦沖に集結し最期の一戦に臨みます。
相国清盛亡き後わずかに4年、ここまでの没落を
誰が想像したでしょう。平家の栄華もまことに短いものでした。


源平合戦クライマックス前夜 ★★★★★
この文庫13巻は、屋島の戦いの戦中から壇ノ浦の決戦前夜までを描く。この巻での主役級は、義経、前内大臣宗盛、能登守教経、平大納言時忠、新中納言知盛など。登場人物の顔ぶれからわかるとおり滅び行く平家を格調高く、耽美に、切なく、そして詳細に描くこの巻は、全編に通じる著者の筆力が集約されているといっても過言ではなく、読書の醍醐味、恍惚とした感動すら覚える。
特に、平家が逃げ落ちた跡のお堂に義経が入り、堂の柱に平家公達が残した和歌を見つけるエピソード、落ち行く平家一門が厳島神社に参詣し、最後の晩餐とばかりに諸将自ら管弦を繰り広げるエピソードは、追い詰める義経以下無骨で素朴な東国武者と見事な対をなし、人間の生まれ落ちた環境からくる価値観、人生観の埋めがたい差異というものを考えさせられた。
まさに『新・平家物語』は大衆娯楽小説の最高峰の一つであると確信します。