将軍宣下〜江戸開府。
★★★★★
関ヶ原の役が終わり、泰平招来の総仕上げに入る家康公です。
吾妻鑑を中心に学問による統治を目指す中、家康公は源氏の長者として
念願の征夷大将軍の宣下を受けます。江戸の町も異色の能吏‘大久保長安’
などが尽力し、大坂に負けない‘将軍家のお膝元’の機能と規模を備えて行きます。
拠り所の幕府には絶対的な武力の必要も考えに入れ、
後の‘武家諸法度’の原型がこの頃作られます。
この巻に於いて、懐かしい人々も鬼籍に入ります。1人は伝通院こと
家康公の母堂‘於大の方’。刈谷・水野氏より岡崎・松平氏に嫁ぎ、
忠臣ぞろいの岡崎党に慈愛をもって接した賢母でした。そしてもう1人は
架空の人物ですが、その昔、竹之内波太郎といって乱波や野武士を率いて
信長、秀吉の覇業を側面から援け、後には自由都市‘堺’のフィクサー
だった納屋蕉庵です。‘伝奇的’な納屋蕉庵の登場も楽しみでした。
そんな中、相変わらずなのが、大坂城のありようでした。
家康公はあくまでも太閤の協力者であり、家臣ではありません。
太閤は織田の連枝を天下統一後、政権から遠ざけついには
滅ぼしてしまいました。
いつの時代でも天下を担うのは、その覚悟と能力と人望が伴って
始めて担えるわけです。深窓の御曹司には不可能です。
千姫の輿入れ後、暗雲は大坂城の上に立ちこめます。
泰平の世づくり
★★☆☆☆
泰平の世づくりは戦乱の時代のような波乱もなく読むのには退屈しますね。
家康63歳
★★☆☆☆
淡々です。家康は征夷大将軍になります。家康の母の於大が死にます。大久保長安が登場します。大坂では、淀君と秀頼がなんとなく取り残されつつあります。片桐且元が板挟みになりつつあります。ゆーっくりと流れる巻です。