いつもながら、宮崎市定という人の語り口のうまさにはほとほと感心させられます。マイナーな人名や地名など固有名詞の使用を最小限に抑え、大まかな筋をしっかりつかまえつつ、時代の特徴を骨太に描いていくという感じです。清朝に対する宮崎先生の思い入れは相当のようで、語りたいことがたくさんある中、話題をしぼって迸るように書いているという印象を受けました。初学者の方でも一気に読めると思います。
内容的にもスタンダードであり、また政治史のみならず、社会・経済・学問・芸術等にもほどよく言及されています。清という時代を全般的に理解するという面から見て、十分星5つつに値すると思います。