ただ、本書の批判は、細かい史実の検証が主で、「恋愛の超克」のようなセクシュアリティの本質論に踏み込んだ議論はあまりありません。したがって、私のように、「江戸幻想」にはまったこともなければ、歴史や近世文学にもそれほど興味のないものにとっては、やや物足りない本でした。
もちろん、このような見方は著者からすればないものねだりで、歴史や文学そのものに興味のある人にとっては、きっと面白い本なのでしょうし、もちろん、現に「江戸幻想」にはまっている人にお勧めしたい本です。