日本の里めぐり、ごはんの旅
★★★★★
十八の隠れ里、どこを選んでいるかが問題。地名を列記してもピンと来ない。それで、日本地図に記入すると、日本列島の北は利尻・礼文、南は宮古・八重山まで、取材地は全国に散らばっていることが一目瞭然。
対馬・壱岐・喜界島などの「島里」、木曽・秋葉街道・奥出雲などの「山里」、尾鷲・能登・讃岐などの「海里」の三分類されていている。
例えば、木曽では「冠雪の御嶽見ゆる地蜂めし」の句と奈良井宿のごへい餅、すんき入りそばのカラー写真で山里の味が楽しめるようになっている。解説文は簡潔、軽快な筆致である。
さて、我が隠れ里・讃岐。「海里」に入れ込まれている。こういう名称は初めて知った次第である。古来「讃岐三白」と言い慣らわし、塩・和三盆・綿であったが、著者は豆腐・和三盆・うどんだと思っているようだ。それは確かに現実に合っている。ここで、意表を衝くのは四つ目に番外として「いりこ」を入れて「平成版讃岐四白」を打ち出していることである。讃岐うどんのだしをとる伊吹島のいりこに注目してくれるところまではいいが、四白とするのは、多少無理があろう。最高品「銀付」を強調すれば、それもまあいいか、ということになる。とにかく、発想の人、新鮮な切り口の味紹介の名人にかかれば、是としよう。
見るべきものを見、聞くべきことを聞いて、勘どころを心得て帰っているから、ただの人ではない。単に名産・名品の紹介に留まらない。土地住人さえ気づかないことを再発見する目の高さを高く買いたい。