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10秒の壁 ―「人類最速」をめぐる百年の物語 (集英社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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予言は直後に成就された ★★★★★
執筆当時はまだ世界記録を出すどころか、200mの専門家と見なされ10秒すら切っていなかったウサイン・ボルトを「今後100mの世界記録を大幅に更新するとすれば、身長196cmのボルトのようなランナーがピッチを落とさずに大きなストライドで歩数を減らすことだ」と著者は書いた。その直後に9秒72の世界記録をマークし、さらに北京五輪決勝での呆れるほどの大楽勝でマークした9秒69の大記録。さすがにこの結果は著者自身も面食らっているかもしれないが、しかし逆に本書の内容の確かさを証明したとも言えるだろう。

一方で著者は「大記録が出るとすれば高地、もしくは準高地で追い風に恵まれたとき」とも書いているが、平均海抜43.5mの北京で追い風がほとんどない環境でこの記録が出るとは想像しなかったに違いない。その意味では単にボルトの才能が桁外れであったということかもしれないのだけれど。

それらの意味で、北京五輪の100m決勝を見終わった後では非常に興味深く読める一冊として、5点の評価。最終章の日本人の短距離挑戦への歩みも興味深い。
五輪前にタイムリーな一冊 ★★★★☆
タイトルから想像できる通りの内容の一冊。簡単に読める本だが、面白かった。100mの世界記録に焦点をあてて、その変遷やエピソードや人について語っている。クラウチングスタイル、スターティングブロック、追い風、高度、トラック、シューズ、電気時計、フライング判定機、プロ化の波、さらには身長(歩数)。そういったことがどういろいろ関係してきたかという様子がよくわかる。日本の短距離走者への言及もある。

近年は陸上競技の世界記録が破られることが少なくなっているが、ドーピングの抜き打ち検査が行われるようになった時期との一致の指摘は興味深かった。

記録を残した選手達の話しもいろいろ載っている。個人的には、カールスイスというのはやっぱり凄かったのだな、と改めて思った。

次は、日本にもメダルのチャンスがあって、スピード社製水着で世界的に盛り上がっている競泳編が出てきたら読んでみたい。
記録に残らない意外な事実がわかる ★★★★★
「10秒の壁」とは陸上競技に於ける100mの記録のことで、人類最速を巡るドラマが綴られた興味深い本です。

この本に出てくる選手の中で、私がもっとも印象に残っているのが東京オリンピック時のボブ・ヘイズと飯島秀雄の二人です。
ボブ・ヘイズの走りは正に「弾丸ランナー」でした。特に後半の延びは素晴らしく、誰よりも先に突っ走っていたのを記憶しています。
(記録の計測上「10秒の壁」を初めて破ったのはやはりこの選手でしょう)
飯島秀雄も当時の日本選手の中では注目されていた選手で、スタートから50mまでは世界一と言われていました。
この二人は走りそのものがまったく違うんですね。そのこともこの本に書かれています。

「記録」そのものに目を向ければ、やはり手動計時から電動計時に変わった時点でしょう。
それまでの10分の1秒(手動)の計測から、電動による100分の1秒単位までの細かい計測になったことで、記録に残らない諸条件が影響を及ぼしていることからです。
特に風(追い風)による影響は大きく、その点を考慮すれば、今までの記録の中ではモーリス・グリーンが出した9秒79がいかに優れているのかが分かります。
(この本が出版された後に世界新を出したウサイン・ボルトの記録も、追い風(1.7m)を考慮するとモーリス・グリーンの記録よりは下回ります)

最後に書かれている「アンタッチャブル・レコード」の中には、どうしてもドーピングによる疑惑の影があるように思います。