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愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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耳元で”ティプトリー”・・・と3回ささやけば・・・・・・。 ★★★★★
 このレビューのタイトルは、一種の呪文のようなもので。ティプトリーの作品のレビューを書いているこのような人物と、一瞬の間に恋に堕ちることが出来る。ありがたいお言葉なのです。(経験談)
『愛はさだめ、さだめは死』に収められた、12篇の短篇作品。「すべての種類のイエス」「楽園の乳」「そしてわたしは失われた道をたどり、この場所を見出した」「エイン博士の最後の飛行」「アーバンジャック」「乙女に映しておぼろげに」「接続された女」「恐竜の鼻は夜ひらく」「男たちの知らない女」「断層」「愛はさだめ、さだめは死」「最後の午後に」どれも素晴らしい作品ですが、一つだけ選ぶとすると、やはり「エイン博士の最後の飛行」と「男たちの知らない女」となってしまいます。えっ、一つじゃないって。それじゃぁ、エインと思い切って「エイン博士の最後の飛行」ですね。1969年に発表された「エイン博士の最後の飛行」ですが、地球温暖化や気候変動が顕著になっている、今こそ地球人類の一人として読んでおきたい作品なのです。
これも泣いた ★★★★★
SFを読んで泣いたことは3回しかないが、そのうち1回はこの本収録の
「そしてわたしは失われた道をたどり、その場所を見いだした」である。
理解されない科学者の気持ちがあふれてきて、思わず泣いてしまった。
他にも、水準の高い読める短編が多いので、かなりおすすめな短編集である。
おれにとって、ティプトリーは泣ける作家であった。

ちなみに「たったひとつの冴えたやりかた」では泣いてないよ。まるで平然と読み飛ばした。
技巧の粋を堪能する ★★★★★
作者の強烈なプロフィールを知ってしまった後に読んだので、最初のうちはそれほど大したことないかと思っていましたが「接続された女」「男たちの知らない女」あたりでのめり込み、「愛はさだめ、さだめは死」「最後の午後に」でノックアウトです。人間とは違う生物の本能を心情として読者に体験させるという極めて実験的な技巧と、アクション大作映画のクライマックスを見るような「最後の午後に」の後半部分。どうして同じ人がこれを書けるのかが不思議です。翻訳者の方にも感謝です。
サイバーパンクを先取り ★★★★☆
「SF短篇=ワン・アイデア・ストーリー」という定式を覆し、SF短篇の新たな、そして多様な可能性を切り開いた女流作家。それがジェイムズ・ティプトリー・ジュニアである。その功績は40年代のブラウン、ブラッドベリや50年代のシェクリイに勝るとも劣らない。ティプトリーの作品は常に斬新で、驚きに満ちている。センス・オブ・ワンダーという点から考えれば、異色作家ティプトリーは最も正統的な短篇SF作家といえる。
 ヴァラエティに富んだ12の短篇を収録したティプトリーの第2短編集。
悲しくて、苦い。 ★★★★★
短編はどれもよい出来。さらに解説が素晴らしいのです。

「接続された女」
最高の宣伝はアイドルに使ってもらうこと。
アイドル=遠隔操作可能な肉のマネキンを操るシステムと化した醜い女性。
外見的な美醜を越えて本物の愛を手に入れたと喜ぶ女性の脳と、外見のギャップに後ずさりする男。
「脳にまさるコンピュータはない」時代の産物。

「男たちの知らない女」
熱帯で不時着した飛行機で乗り合わせた二人の女性は、宇宙船に乗って地球を捨てる。
「男性か女性か」論争を巻き起こしたジェイムズ・ティプトリー・ジュニアとして読むとますます皮肉。
著者アリス・シェルダンが頭を打ち抜いて自殺したとき、最期に去来したものを思わせる作品。

「愛はさだめ、さだめは死」

母を食い殺して生きた「おれ」にも、「ちび」に食い殺される季節が訪れる。
生き物のイメージは、ミニマムならサソリ、マックスならアノマロカリス、というところか。