でも大仏を建立し御仏の信仰によって父は幸せになった。
阿部内親王は孝謙天皇となるが、父のようにはならない、藤原家の言いなりにはならない、と誓っている。しかし、形を変え、彼女もまた藤原の、そのなかでも藤原仲麻呂の持ち駒となってしまう。
でも、阿部は仲麻呂の持ち駒(もちろん気づいていない)であることで幸福になった。
「心のよりどころを見つけた」ことでこの父娘の幸福は存在しているのが悲しくもせつない。