絵巻に描かれた人々の表情をじっくりと
★★★☆☆
確かに歴史的主人公についての記述は少なく、人々のくらしや文化的な背景について文献、
絵巻から詳細に考察され、披瀝されています。
なるほど絵巻の見方、それから分かることなどは参考になります。
また「仏教信仰の展開」で、「生身」「身体」の視点も驚きでしたし、
武士が懸命に官僚制をつくり上げていく過程にも新鮮なものがありました。
多くの知識を得ることができました。
ただ、何かもう一つ、このシリーズの目的、意図から求めるなら、現代への伏線、
現代の鏡と感じるような記述も期待したい所です。
P371の表は、今日この時点では???です。
「本巻で記してきたのは、じつは中世のほんの一端にすぎない。
つぎの巻からは、中世の時代をさらに詳しく探ってゆくことになる。
違った角度から見ると、また違った新鮮な中世の像が見えてくる。
ぜひとも、期待して欲しい。」P373
大いに期待しています。