金子光晴の旅関連の本のアンソロジーといった一冊だ〜 ７章からなり それぞれ 選び抜かれた「詩と旅行文」によって構成されている〜 例えば〜 「日本脱出」から「中国大陸・上海〜」をへて〜 熱帯の噎（む）せ返る熱気に展開される 息詰まる 蛇の絡み合いのような 冷ややかで尽きる事のない「人事と自然」の「東南アジア・シンガポール・マレイ半島〜」〜〜 ／こんな「夢・幻」のような 旅を強（したた）かに成し遂げ 自分を客体化しながら 記述する 金子光晴という「人間・詩人」の 教養 知識 度量 生活力には ただ 驚くのみだ！〜 そしてこの 稀なる大正の怪人 奇人が 残してくれた「アジア無銭旅行」に 中心を失った現代日本の 出口無しの閉塞感 と価値観からの 解放感 感性 思考の柔軟さを 味わえるように思えるのだが！〜 ／それにしても〜 この本に満ちあふれている 『未開の密林』を 跡形もなく消滅させてしまった 「現代文明・人」の機械化された凶暴さに 底知れぬ恐怖心さえ覚える！〜 歴史的記録としても 貴重なのでは！〜 ／「詩人アルチュール・ランボオ」と「詩人 金子光晴」との接点〜アラビアの「アデン」の 短い数行が印象的だった！〜