古典への足がかりとして
★★★★☆
政治学を学ぶ上で読まれるべき名著30点を、その執筆背景や内容の要約、理論の継承、現実との相克などを一冊につき数ページで筆者がまとめている。ここで紹介されている古典を、全て読了し内容を正確に理解したうえで批判的に吟味することなど、職業的専門家でないと到底不可能であることを考えれば、こういった解説本の価値はきわめて重要だと言わざるをえない。
筆者も指摘しているとおり、どこから読み始めても良いし、すべてを読む必要もない。興味があるものに目を通し、より深く知りたければ原典にあたる。この本を読んで、私はヴェーバーの『職業としての政治』とロールズの『正義論』を読みたくなった。
「ありがたがるべきもの」にとどまらない名著の魅力を伝えてくれる。
★★★★☆
古今東西―紀元前から20世紀、西洋から中国、日本に至るまで、
星の数ほどある政治学の著作物から30の名著を選りすぐって紹介してくれる。
日本を代表する政治学者である佐々木氏が書いたきっちりとした文章であるがために、
けっして「平易で読みやすい本」ではないかもしれない。
とはいえ、難解であるといわれている30の名著を、それぞれ4-7ページという決して多くない紙幅の中で、ポイントを絞って紹介しているところは圧巻で、さすがの慧眼の持ち主だなと思わされる。まさに知的好奇心をくすぐる「入門本」であるといえる。
政治学を単に教養という視点から学ぶのでは危険で、常に現実の社会とつきあわせながら学ばなくてはならないとする姿勢もまた、刺激的だ。
学問としての政治への道案内
★★★★☆
「政治」というものに漠然とした知的関心はあるが、どのように勉強を進めていけばよいかわからない人に本書を薦めたい。
政治学の古典30冊(古代から中世をへて現代まで)について著者なりの観点から解説が加えられている本書を読むことによって読者は、自分の関心に応えてくれるテクストを見つけ出すことができるだろう。
また、この手の本ではどうしても西洋中心となることが多いが、本書では『論語』など東洋の古典にも少なくない紙幅が割かれており、著者の見識が窺われる。
政治学を志すあなたにオススメ!
★★★☆☆
学問を志すならば、バイブル的書物をきっちり押さえることが必要である。しかし学生は独自に本を手にとってしまうと、個人の狭い視野からしか本を選択するしかできない。四年生になって指導教授から読むべき本を手渡されているようでは時すでに遅しである。このようなブックガイド的書物をガイダンスとして利用し、よい書物に出会ってほしいものである。