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人情裏長屋 (新潮文庫)

価格: ¥704
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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人間関係に疲れた時の 癒しの世界 ★★★★★
善人ばかりの山本周五郎の世界
ファンタジーとはわかっていても
つい ほろりと泣かされる。
無くしてしまった ものばかりが描かれている世界は
美しく 切ない
山本周五郎バラエティ ★★★★★
 長屋ものを中心とした短編集。

「おもかげ抄」
 途中で、こういうことだなとはわかるが、こういう結末をつけるとは思わなかった。 

「三年目」
 「さぶ」のようでもあり、「柳橋物語」のようでもある。
 長編になりそうな素材を短編に使っていてもったいない気がする。

「風流化物屋敷」
 山本周五郎が好んで書く、世の汚れを知らない武士の話。

「人情裏長屋」
 腕が立ち、善意の固まりの武士。
 長屋の住人として生涯を終えるのかと思ったら、やはり武士は武士として生きるのだった。
 そういうところが、山本周五郎らしい。

「泥棒と若殿」
 泥棒と、蟄居状態の若殿の交流。自分のためではなく、人のために生きなくてはならないという話。

「長屋天一坊」
 講談調の小説。家系にとりつかれた家主と長屋の住人の騒動を描くユーモア小説なのだが、あまり後味がよくない。ここまで悲惨な目に遭わなくても、と思う。

「ゆうれい貸屋」
 過去の因縁も何もなくいきなり幽霊が出てくるのがすごい。理由付けなどいらないのだ。

 ゆれいを貸す商売という、奇抜なアイディアなのだが、それが生かし切れていないのが残念。
 なんだか尻切れトンボの終わり方だった。
 「すぐに賃上げストなんか始めるわよ」(p247)というせりふには驚いた。

「雪の上の霜」
 あれっ、これは「雨あがる」ではないか、と思ったら、その通り、姉妹編だった。

 人一倍優れた能力を持ちながら、善良でありすぎるが故に立身できないというのが、山本周五郎なのだ。

「秋の駕籠」
 「三年目」と同じく、男同士の心の絆の話。
 この本の中では珍しくハッピーエンドだった。

「豹」
 なぜこの小説がこれに収められているのか、と思うような現代小説。
 女は怖い、という話。

「麦藁帽子」

 これも現代小説。「青べか物語」風。

ゆうれい貸します ★★★★★
「ぶらり信兵衛道場破り」だけでなく、NHK時代劇「ゆうれい貸します」の原作「ゆうれい貸家」も収録しています。お買い得な作品集です。
長屋もの ★★★★★
周五郎の長屋物の短編小説11編が本書の中に収められている。
標題ともなった「人情裏長屋」は、「ぶらり信兵衛道場り」として
テレビドラマ化されたので知っている人も多いと思う。
私が一番感動したのは、「泥棒と若殿」である。あるとき、世間から
見捨てられ、あばら家にひっそりと住む侍の家に泥棒が忍び込む。

そして二人の奇妙な共同生活が始まるわけだが、突然に2人の生活に
は終止符が打たれてしまう。「信さん、行ってしまうのか」という伝
九郎の嘆きは本当に痛々しい。

本書の短編小説を読み進むうちに日本人が遠い昔に忘れてしまった
生き様に強く胸を打たれる思いがした。

ひとの強さと優しさを教えてくれる ★★★★★
信兵衛という凄腕の浪人と貧乏長屋の善良な住人達との日常は「ひとの強さや優しさとはなにか」を教えてくれる。

今となっては揶揄の対象ともなる“人情もの”ではあるが、忘れかけている日本人の心の機微を思い出させてくれる。殺伐とした今の日本にあって、「強さと優しさ」は日本人が取り戻さなければならないキーワードではなかろうか。この短編を読み終わったとき、何か暖かいものが心の中に残っているのに気付くはず。

人間愛などといった大げさなものではないにせよ、人としての心のあり方を教えてくれる、そんな一冊だと思う。