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未練―女刑事音道貴子 (新潮文庫)

価格: ¥546
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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音道貴子シリーズ・社会派 ★★★★★
 音道貴子シリーズを順番に読んできたが、本書に掲載されている六篇はどれも「社会派」の匂いがする。
 これまでのシリーズもその匂いがあったのだが今回の収録作には特にそれを感じる。

 六篇すべて印象に残るものだったが、そのなかで選ぶとすれば前作『鎖』のその後を描いた『山背吹く』。
 
 あの監禁事件で心身ともにボロボロになった音道貴子。
 貴子が負った「傷」はどんなものだったか、それからどう立ち直っていくのかが見どころだろう。
 
 一番考えさせられたといえるのが『聖夜まで』。
 これは言葉では言い表しにくいので、とにかく読んでほしい。
 人間関係や、人間の二面性など様々なことを考えさせられる。

 「本を読む」というのは、ジャンルに関係なく「そこからなにを学ぶのか」が大切だと思う。
 当然ミステリー小説もただ事件の犯人を探すだけではなく、そこから何かを感じ、学び、それを実践していかなければいけない。
 本書はその最たるものといえるだろう。

 ぜひ本書を読んで学んでほしい。
音道貴子シリーズの短編集。 ★★★★☆
音道貴子という警視庁機動捜査隊の刑事を主人公にした短編集です。

『凍える牙』(直木賞受賞作)、『花散る頃の殺人』、『鎖』と続き、

映像化もされている人気シリーズ。

この作品集の中では、幼児虐待であったり、小学生による殺人事件、幼稚園での監禁事件など、

子供に関する話が多かったです。

1つ1つのテーマや内容は重いのですが、

音道貴子という主人公の正義感や正直でまっすぐでさっぱりした性格のおかげで、

読後感が重くなり過ぎずに済んでいるんじゃないかと思います。

私は作家さんによって、短編と長編好きなものが分かれがちなんですが、

乃南さんのこのシリーズに限っては、短編も長編もそれぞれ大好きです。
またまた音道隆子の短編集です。 ★★★★★
女刑事音道貴子シリーズの短編集です。
「鎖」の事件後と思われる作品などもあるので、設定としてはその前後なのでしょうか。
たいした事件もなく、むしろ音道貴子の日常に視点を当てた作品のほうがどちらかといえば多いのですが、これまでの作品を読んできたものとしては、すでに十分彼女に感情移入してしまっているので、それでも十分楽しめます。
つまり彼女というキャラクターが要するに好きなんでしょうね。
だから、出てくるだけでうれしい。そんな感じでしょうか。
特に印象に残った作品として、「聖夜までに」は、児童虐待の問題を扱った作品で、この短編集の中では、一番衝撃的な作品ではないでしょうか。正直、読んだ後の気分は良くないですが、子供をもつ親のみとしてはいろいろと考えさせられます。
古道具屋のタンスの中で、親子の死体が見つかるという事件は、犯人は、もう分かっているのに、結局、この短編集の中では、解決しないので、ややその点は中途半端な印象を受けました。
音道高子と島本刑事に乾杯 ★★★★☆
人物描写の細やかさ、警察機構・内部事情のリアルさにはいつも脱帽します。
特に警察世界にかんしては詳しく書けば書くほど、つまらなくなるものですが、
乃南さんの場合は逆に興味をもってページをめくってしまう・・・ことになります。
凄い手腕だと思います。

この短編集は5作品からなっています。
どの作品もよくできています。
特に「聖夜まで」は手口の残忍さ、犯人の以外さ、そして、これは特筆すべきことですが、
虐待する側の心理描写のたくみさに驚きと衝撃をあたえます。
結末はいつまでも切ない余韻をあたえるものです。

追記:島本さんから目がはなせません!

彼女に会いたい ★★★★★
 何か事件が起きたとき、私たちは被害者や加害者だけに目を向けがちですが、当たり前のことながら、一つの事件にはたくさんの人たちが関わっています。警察官もその一人。乃南さんは、警察で働いたことがあるの?と思うくらい、リアルな刑事の日常が描かれていると思います。

 普通刑事物というと、事件の解決に重きを置いた話が多い中で、解決しない事件もあり、捜査の過程での出来事に打ちのめされることあり、警察官もいろんな思いを抱えて捜査にあたっているのだなと思いました。警察官も人間、いくら捜査に感情を交えてはいけないとわかっていても、やりきれない怒りに自分がつぶれそうになるときもあるでしょう。そんな人間くさい音道貴子が描かれているのが今回の短編集です。

 小説の中の女刑事というのは、腕っぷしも強く、頭脳明晰、事件をばしばし解決していく、なんてのが珍しくありませんが、彼女は決して強くない、ある意味とても普通の女性。しかし、根性だけは人一倍。腕っぷしの強い男に、無謀にかかっていくこともしないし、町中で小競り合いを見ても、「私は刑事よ!」なんてでしゃばったりしない。捜査でつらい目にあって、人を信じられず自分を見失いそうになるけれど、やっぱり自分にはこの仕事しかない、とまた刑事の日常に戻っていく。自分と同年代かな、ということもありとても親近感を感じてしまいます。
 
 働く女性にはよくわかるでしょうが、職場というのはまだまだ男社会が多いもの。その中で生きていくには、なかなかに大変なことなのです。強さは必要だけれど、いきがって男性と同じになろうとしても駄目なのです。その点、彼女には変な気負いがない。ただひたすら、一人の刑事として自分のできることを精一杯やろうとしている。その点も好感が持てるのです。

 まるで、実在する人を描いたかのような描写力。人間・音道貴子を楽しめる短編集です。彼女にあってみたい、話してみたい、と思わせられる小説です。