インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

嗤う闇―女刑事音道貴子 (新潮文庫)

価格: ¥546
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
Amazon.co.jpで確認
日本の将来を憂う4篇 ★★★★☆
 本作と前作『未練』を読んだときに共通して感じたことがある。
 それは、「日本の将来はどうなってしまうだろう」ということだ。

 本作の2番目に収録されている『残りの春』に登場する三方孝三郎が「いったいこの国はどうなっていくんだ」というニュアンスの言葉を多く発している。
 前作『未練』そして本作『嗤う闇』を読んでいると「その通りだな」と思わされるばかりだ。
 
 普段から「日本の将来はどうなるだろう」と考えるほうだが、『未練』『嗤う闇』を読むことでより強く思うようになった。
 普段そのことを意識していない人でも、読めばきっと考えてしまうと思う。

 政治や経済、そしてこの国の行く末をあまり考えない人には読んでもらいたい。
 そうすればきっとこの国はもっと良くなり、強くなる。
音道貴子シリーズ短編集 ★★★★☆
女刑事 音道貴子シリーズ。
この作品は短編集で、4作品が収録されています。

以前のレビューにも書いたことがありますが、このシリーズは長編作品と短編作品で趣が異なります。
長編が緊迫感を持ったサスペンス作品であるのに対して、短編は事件を絡めながらも、主人公の日常を描いた作品が多いようです。
本作の中でも、音道の恋人昴一や、かつてコンビを組んだことがある滝沢刑事、クセのある同僚たちとの関係の中で、時には刑事としての強さを、ある時は女性としての繊細さを、描いています。

緊迫感やスピード感が弱い分、サスペンス作品としての面白さには欠けるかもしれませんが、人間味のあるドラマとして楽しめる作品が並んでいます。
「木綿の部屋」では、滝沢刑事の違う一面が垣間見えたりするので、このシリーズのファンの人には、別の楽しみ方もできるかもしれません。
人間くさい ★★★★★
音道貴子シリーズ短編集第三弾は、貴子が小さな警察署に移動になったため痛快な大事件では無くとても人間くさい事件になっています。
連続レイプ犯、ストーカー被害の主婦、滝沢刑事の娘夫婦、善良な主婦を逆恨みなど、後ろからケリ入れたくなるような奴ばかり。
それを、等身大の女性の目で見ている貴子がとても好きです。

忙しい中、彼氏ともうまく行っているのですが、「このままでいいわけない・・・。でも、もし結婚しようと言われたら困る」と、
前に進めそうで進めないでいる所も“仕事をしている普通の女性”でいいですね。
派手さはないけれど ★★★★☆
 音道貴子シリーズの短編です。長編は大きな事件を扱っているのと対照に、短編は小さな事件や日常の出来事なんかを描いたものが多いですが、今回も、直接事件とは関係ないものあって、貴子の日常が垣間見える作品です。

 今までの機動捜査隊からショカツの刑事となった貴子。場所が隅田川の周辺とあって、事件も派手ではないけれど、すごく人間くささが感じられます。

 印象に残ったのは『その夜の二人』。目が見えにくくなったから老眼鏡を作ろうかと言う恋人・昴一の言葉に、栄養面などであれこれ世話を焼こうとする貴子。そんな彼女に、俺はお前の息子じゃないし、お前は俺の母親じゃない、世話を焼くとかそういうの、やなんだよな、という昴一。一般的には料理や洗濯をして男性の世話を焼きたがる女性が多いと思うし、それを喜んで受け入れる男性が多いんじゃないかと思うけれど、私自身がそういう感覚があまりないので、昴一の気持ちはよくわかる。逆に、どうして私が世話を焼いちゃいけないの?と憤る貴子が意外でした。彼女はもう少しドライで、自分のことは自分でやってよというタイプなのかと思っていました。そういう意味では彼女もフツウの女性なんですね。また、それが魅力的ではあるのですが。

 小説やドラマの女刑事は強すぎる。怖いもの知らずだし、家庭円満かもしくは独身貴族でかっこいいか。ちょっとできすぎでしょ。貴子はバツイチ、結婚には二の足を踏んでいるし、職場では女だというだけでいまだに嫌な思いをすることも多々ある。つまらない挑発にカッとすることもある。刑事だろうが何だろうが、怖いものは怖い。だから「私は刑事よ!」なんていきがってない。すごく”かっこよくない”のだけれど、そこがいい。

 『木綿の部屋』で再びひょんなことから滝沢刑事と再会する貴子。刑事としては一目置いていながらも、生理的に好きになれない彼との微妙な関係がおもしろい。ぜひ『風のエピタフ』を読んでみたいです。
ある意味短編の教科書ともいえる ★★★☆☆
 出来不出来の激しい短編4篇が収められている。
どういう短編が良くて、どういうものがだめなのかよくわかる短編集である。
ただ、どの編も著書の切れのある文章で気持ちよく読める。
この人の文章って結構きれすぎていて、「きれはあるけど、こくがない」って常々思っている。だから、音道貴子にしても、この子との結婚生活はきついだろうなぁと思わせられるところが多々ある。ということは、逆に弱い音道貴子など読みたくない私には、魅力的な一冊であるのだが。
あまりにも不出来な短編があるので星は3つとしました。
「風のエピタフ」に期待です。