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ドナウの旅人〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥853
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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文学界に於ける職人芸かも知れない ★★★★☆
不貞の旅行に走った自分の母を追いかけて旅行をする話と言えばそれまでだが、
実際はそんな安易なストーリーではないことが、この作品の素晴らしさを濃くしている。

ドナウに沿って旅を続けていくうちに、
最初は敵みたいな関係だった二人が、ごく自然に胸襟を開くようになる見事な展開や、
生きていれば誰しもが感じているはずのことを、ストーリーに沿ってさり気なく含ませ、
そう言った過程の中で、登場人物らが様々に変容を重ね、人によっては見事な成長までをも果たす。

それがいかにもな展開で、作者の思いのままにことが進むようには決して感じさせず、
それでいて、まさにストーリーにぴったりな風景描写を持ってくるところが随所に見られる。
(遊園地での観覧車を巨大な時計に見立て、その中で話をしながら、時が流れて時が解決するように、
困難を背負った人間の心の裡がゆっくりと動き出す様子は、まさにその象徴かも知れない)

ごくごく自然に読み進められながら、実はストーリーも叙情表現もかなり計算されていて、
しかもそれを読者にあからさまにしない点は、まさに職人芸ではないか。

朝日新聞の連載というハードルをこなしながらも、緻密に描ききっている点がまた素晴らしく、
ストーリーテラーと呼ばれる氏の技が張り巡らされた貴重な長編作品だと思う。
ところで ★★☆☆☆

絹子の夫はどうなるんでしょうね?婿養子に入って家族のために働いて責任を果たして頑張ってきて、まあ、暴力はいけませんけど・・・。美しい妻と娘はそれぞれの愛を成就させたという結末なのでしょうが、私はお父さんの今後が気になるわ・・・。
人物描写がいまいちだが、読み応えのある一冊! ★★★☆☆
長編で非常に読み応えのある本。
私が現在ヨーロッパに住んでいることもあり、少し感情移入しながら読めた。
話の展開や、ヨーロッパ各国(特に共産圏時代の東欧)の描写などは非常に楽しめたのだが、登場人物像がいまいちはっきり伝わってこなかった。
主人公の女性は頭もよく、3カ国語を操り、非常に美しい女性で、実はみんな彼女に恋していた。。。
とか、ちょっと少女コミック的な発想で私はこういうのは好きじゃない。
何か、それぞれの人物の汚い部分や、暗い部分をもっと描写して欲しかった気もする。(それに関してはナガセの人物描写が一番リアリティーがあって好きだった)。それにしても、これほどの長編を丁寧に書き上げたのはすばらしいと思うし、この本を読んでみたら、一度は欧州を旅してみたいと誰もが思う一冊だと思う。(もう共産圏はなくなったけどね)
エンターテイメントとして楽しめる ★★★★☆
すごく考えさせられるというほど深くはないが、
暇なときに本を読むという
エンターテインメントとしては素晴らしい作品のように思う。
上下800ページにもかかわらず、先をどんどん読み進めたいと思える
おもしろい作品。
ただ共産主義時代の話は時代錯誤感はある。
ドナウ川の流れ ★★★☆☆
宮本輝氏独特の紀行文+私小説の代表的作品。この作品はドナウ川流れと運命によって流される人生を象徴的に結びつけている点は素晴らしかった。物語のきっかけは母 絹子の恋人である長瀬の死に場所探しからだった訳だが、娘 麻沙子とフィアンセのシギィと旅をすることにより最終的には自分の中の『生』を確認する旅へと変わったのだと思う。また雄大なドナウの流れと流域の東欧の街で必死に暮らす人々もその一助となったのは間違いない。ヨーロッパには行ったことは無いが、ドナウの生命力を感じる旅に出てみたくなった。あえて評価を★3とさせて頂いたのは、紀行文的要素が強く出すぎて軽さを感じたからなのだが、十分楽しめる作品だと思う。