相変わらずの優しい視点と筆力でうならせ、どうしてもエジプトに行きたい! と思わせる(途中に出てくるカフェに、どうしても行きたいです)。現地の風がふと吹いてくるような気さえするのは、取材と、素敵な写真と挿絵の成せる技でしょうか。
毎回ついている旅についてのコメントは、制作現場を覗き見るようで、興味もあり、でもやっぱり見なければ良かったかも、という気もし。。。複雑です。
日本の仏閣だとかがとても浅はかなものに見えてしまいます。エジプトは、長い歴史の向こう側で人知を超えた世界で有り続けています。そのエジプトを舞台に、非常に現代的(すぎる)3人が旅をしていく『SLY』。メンバーの1人がHIVポジティブであるという重い現実が、非現実的なエジプトという舞台でむしろ美しさを増していく・・・
著者でしか描けない癒し系旅行小説。登場人物の友情、愛情が、私には眩しくて、美しすぎました。エジプト旅行予定のある方にもお勧めの一冊です。