確かに、多重人格は年少期の虐待などに対する精神の自衛から始まるのでしょうが、しかし、別の人格の性格や、魂はどこから来たのでしょうか。
この本は未完成な部分が多少目に付きますが、吉本ばななだからこその目の付け所があり、納得させられるものがありました。彼女の視点で多重人格を見ると、今まで科学という一つの物差しに囚われていた自分に気がつきます。 また、著者のバリ島への旅行記を読むと、更に小説が生まれるまでの様子がのぞけて楽しいです。