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国家の仮面が剥がされるとき―南アフリカ「真実和解委員会」の記録

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: 第三書館
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応報的司法ではなく、修復的司法へ向けたテストケースの報告。 ★★★★★
 真実和解委員会は、94年全人口の8割を占める黒人を含め、初の全人種が参加する総選挙で、ネルソン=マンデラ大統領が就任した後構想され、96〜98年の最終報告書作成まで約2年半にわたり、公聴会を含めた活動を行ってきた機関であり、その対象は前与党の国民党、ボタ大統領らの指導者のみならず、開放を求めて戦い、委員会の形成と活動を支援する現最大与党ANCの組織的、又はメンバーが犯した罪、「国家の母」として内外からも熱狂的に支持されるウイニー=マンデラによる、私的自警団と化したマンデラ=ユナイテッド=フットボールクラブに指示しての罪にも及んだ。

 そもそも法は、少数者による犯罪は想定しているものの、ユーゴやルワンダ、南アのようなケースは規定されていないが故に、裁判では不都合な点が多々あり、委員会を採用する事で、犯罪の原因を個人でなく社会体質、復讐でなく理解、報復ではなく償い、とのルールにより、真実の全体像を明らかにし、被害者・加害者の人間性を回復し、和解を促進する事を目的としている。


 膨大な数の犠牲者が委員会に出頭したので、被害者の補償より恩赦による釈放が先になされ、現在に至るも多くの人への補償・支援は滞っており、多くの白人が国外退去後、黒人による逆差別が始まり、08年には外国人排斥暴動も起こるなど、“虹の国”への道は遠いが、ハワード豪首相がアオボリジニへの、ハゥジマン・クロアチア大統領がセルビア・ユダヤ人、ロマなどへの謝罪を行わない姿勢から比べれば、はるかにマシと言えよう。
 


 原書は2000年に刊行されているので、いささか遅い感は否めないが、未だ修復的司法の完成系が現れていない現在、共同体主義が慣習法として憲法にも明文化されるアフリカの特殊性を差し引いても尚、本書の示す役割は重要であろう。