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吉祥天女 (1) (小学館文庫)

価格: ¥610
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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多少物足りなさはあるけど ★★★★☆
小夜子には、結局多少不思議な力があったのかな?その辺がちょっと微妙。読者の想像にまかせるって感じなのだろうか。。。
結構読者の想像にまかせる感じが他にも色々あったのが、すこーし不満かも。もうちょっとほっさげて、描いてほしかったかも!

同性の目から見ると格好よく見える小夜子だけど、男からみると、怖い。なんか、すごい納得しちゃった。
小夜子はたちまわりも強いけど、どーしてあんなに強いのかな。
そこも知りたかったわ。そして小夜子が家を出ていた理由って、例の火事が原因だったの?そこも微妙。。。
祖父母が小夜子を好きだった理由もはっきりとはわかんなかったし。
読んだあとも疑問がたくさん残ったわ。

孤独な天女 ★★★★★
男という性に復讐する小夜子。

小夜子をおぞましいとは思えないし、
残虐な行為に清々しさを感じるこの自分も、
彼女に似た部分を持っているのかもしれない。
きっと男という性を憎んでいる。
女の武器を行使しても、女という性に甘んじきれない。

小夜子は永遠に孤独な天女のまま生きていくだろう。
でもそれは、彼女の境遇からくる精神的な強さのためではない。

天女どころか、能面をかぶったその女は・・・ ★★★★★
吉田秋生の他の作品には出てこないタイプのヒロイン「小夜子」は、やけに落ち着き払った和風美人。家族には何だか巨大な遺産相続がらみのどろどろとしたトラブルがありそう。父母や親族を呪い、諸々の情念を能面のごとく澄ました仮面の奥に隠して彼女はいったい何を企んでいるのか。それが分かってくる頃にはきっとこの小夜子世界にはまりきっている事でしょう(それ以上は言いません。筋の解説や種明かしは本を読みながら自分でするものであり、ここに書く事じゃないですから)。表紙に能面が使われていますが、そう、彼女もこの物語の中でそんな不気味な笑い方をしている。
小夜子 ★★★★★
謎めいた美しい少女が転校してきた時から
平穏だった学校生活に変化が起きる。

美しい少女の名は小夜子。

小夜子に憧れの念を抱く少女。
小夜子に違和感を感じる少年。
そして、小夜子に欲望を向ける男達・・・。
様々な思惑と人間が交差する中
やがて、小夜子の周辺で、奇怪な事件が起り
死者が続出する頃、小夜子が転校してきた
真意がわかり始める・・・・。

少女誌「別冊少女コミック」に連載されていたと
思えない程、女性の性、暴力、死、トラウマを
扱った問題作にして傑作。
今でこそ性描写なんて普通にある少女誌ですが
20年近く前に高校生のベッドシーンを
リアルに描いたという意味でも度肝を抜かれた作品でした。
(当時、小学生だったので、ひっくり返りましたヨ)

吉田作品には共通点があって、
幼児期に性的虐待を受けた者が、
何も無いまま無邪気に少年少女期を送る友人に対して
大切にしたい想いと憧れを抱く・・・という
切ない関係性がよく描かれます。
(アッシュと英二も同様の関係です)
小夜子も同じように、過去の傷のせいで孤高で冷たげ。
友人が無邪気であるほど、小夜子が失った物が
分って、彼女の横顔が哀しく切なく映るのです。
だから、目的のために人心を操っては冷酷に
人を死に追いやっても
小夜子を化け物のようには見れません。

小夜子の言動が、女性のしたたかさ、強さ、恐ろしさを
表していても、小夜子の内面に深く刻まれた傷がある限り
女性を一概には恐ろしい生き物だ、とも愚かだとも
誰も簡単に決め付ける事が出来ない。
そんな、胸が痛むような読後感がいつまでも残ります。

少女漫画なんて・・・と馬鹿にする男性にも読んで欲しいです。

末法少女の表徴 ★★★★★
ゼルダのサヨコと同音である主人公、小夜子はその美しさと冷徹さで発表以来20年の時を経ても僕らを鈍く魅了し続けている。自らの「血」への呪い、そして、彼女の決め台詞「女は...」は今でも思い返すたびに戦慄と共に清々しさを感じ、もし殺されるなら…などと考えてしまう自分がある。

近年流行のガールズホラーの文脈で語ることは可能であろうが、安易な映像化は絶対に避けて欲しい。
及川中と栗山千明なら是非観てみたい気もするが、納得するかどうかはとても不安。