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夢みる頃をすぎても (小学館文庫)

価格: ¥627
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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かつてこんな青春があった気がする、でもそれは錯覚 ★★★★★
20年以上前に描かれた作品ですが、たとえば「ハチクロ」が好きな人なら、きっと好きになる漫画だと思います。

本作をひと口で言うと、80年代の若者の、受験〜大学生活にいたる数年間の恋と青春を描いた連作短編集です。

学級委員長タイプのマジメな黄菜子と、落ちこぼれだけど人気者の恭一をはじめ、2人を囲む友人たちのキャラクターがすごくよかったです。実は引越しの時持ってこなくて手元にないんだけど。そして今、それをすんごく後悔しているところなのです。

この作品中、僕が好きなのは、受験ノイローゼで進学校から3流校に転校させられ、周囲に馴染めない猿渡君。受験もそっちのけで遊ぶ同級生たちの雰囲気に流されまいとひたすらガリ勉に徹する彼は、無理がたたってまたしても学校で倒れるハメに。

よくあるパターンでは、両親や教師の過剰な期待に応えるために、ガリ勉していたけど、実はイヤイヤだったんだよ、みたいな展開となりそうなのですが、彼の場合は違います。(以下うろ覚えだけど)猿渡君は自分が他より秀でた存在ではない、という自覚から、社会に出た時に優位に立てるように、得意な勉強でとりあえず受験戦争に勝っておこう、というきわめて戦略的な考えの持ち主なのですが、ノイローゼで倒れた時から親たちが逆に「やっぱり無理をさせすぎたのかしら」という彼にとってはありがた迷惑の気遣いとか、周りの「受験、受験、ってやりたいことも我慢してまで無理しなくていいのに」という誤解を持て余しているのでした。ガリ勉、というキャラはたいがいネガティブに(あるいは笑いのタネに)描かれるものですが、この猿渡君、客観的に自分をわかってた上でやりたいようにやっているヤツなんですね。むしろ、「どうして俺が被害者扱いされなきゃいけないんだ」といらついていたりする。こういう男、僕は好きだなあ。そう言えば、「ハチクロ」7巻に登場する小学生、倉持くんは猿渡君を彷彿とさせます。(余談だが、彼がはぐちゃんと花火を見に行く回は個人的にあのマンガの中でも最も感動的な回だと思う。)

話がそれましたが、とにかく受験だったり、恋だったり、恋のようで恋でない自己愛だったり、若者たちが持て余してる色んな感情が濃やかに描かれるこのマンガは、夢見る頃をすぎちゃったかもしれない人たちにとっては、まぶしい、まぶしすぎる作品なのです。
男の心理がおもしろいな ★★★★☆
吉田秋生(あきみ)と言う人は、不思議な漫画を描く人だな。
初出を見ると、少女コミックばっかしだから、女流漫画家、と言うことになるんだけど、僕はかなり好きです。
どの作品も懐かしい風景で、少し胸がきゅんとなるような甘酸っぱい気持ちになります(あああ、50過ぎたおっさんの言うことではないですが!)。
この作品集では、特に前半の「楽園のこちらがわ」「楽園のまん中で」がいいです。
不思議な人だなぁ。男の心理を実にうまくつかんでいる。そんな作品を少女コミックに載せるところが面白いね。
懐かしさと、個人的なこと ★★★★★
~この人の青春時代と私のそれとがだぶっているのだろうか。どの作品もやけに懐かしい感じがする。それと、「ジュリエットの海」に出てくるバッハのコラール。自身アマチュア音楽家として何度も演奏している曲ではあるが、こんなイメージと結びつくと切なくて演奏できなくなりそうだ。あくまでも個人的なことだけれど、多分他の人が読めば他の人にとっての個人~~的なことに行き着くのかも知れない。それがこの人の深みだと思う。~
過ぎ去るせつなさ。 ★★★★★
好きな人と思いが通じて、ハッピーになったはずなのに、
どこかひとすじ流れるさみしい気持ちが、初めて読んだ当時と
どんぴしゃでした。

こんな気持ちは女性は必ずあるでしょう。
こういうところって、男の人にはわかんないんだろうな、とも。

絵は少々時代的にも古っぽいですが、お話がいいのです。
「もうあのころにはもどれない」、あの感じ。

ガラスの靴で踏むステップ ★★★★☆
漫画自体初心者で、この漫画は友達に勧められて購入しました。

最初に感じたのはとても切ない感覚です。友人や、家族などのありがちな日常を描いているのですが、それがとても繊細に描かれているのでびっくりしました。この本はいくつかの短編集からなるオムニバス形式です。私がもっとも心を打たれたのは、文庫のタイトルにもなっている「夢みる頃をすぎても」という短編のラストの場面で、ガラスの靴を履き好きな人とステップを踊りたいという漠然とした理想を語るところです。そこで、主人公はこうも思います。「みんなガラスの靴をはきあやういステップを踏んでいる」(p.197)みんな、あやういステップを踏んでいる。私たちも一回限りのかけがえのない人生を、取り返しのつかない時間の中で日々、ガラスの靴をはきあやういステップを踏んでいるのでしょう。流行りの歌で、つないだ手を離したくないという表現がよく見られますが、これは、つないだ手を離すと相手がどこかに行ってしまうかもしれない。どこにも行ってもらいたくない。この時間が永遠に続いてほしいという気持ちの表現でしょう。しかし、時間は流れ、現実は変わる。その変わりゆく現実の時間の中で、私たちはガラスの靴をはきあやういステップを踏んでいるのでしょう。。

いつになったら、美しく踊ることができるのでしょうか(^^;)。