読みやすい
★★★★★
執事になった青年が、少しずつご主人様の心を癒していく話。
読んでいくうちに、原田と一緒に過去にとらわれているご主人様の殻を一枚ずつはがしていく気分が味わえます。
ご主人のトラウマは結構重いですが、描き方のせいか、痛々しくて見ていられないほどではないので、
気軽に読めるのではないかと思います。
恋愛が深まるプロセスと一味違う達成感
★★★★★
榎田先生ってホントに上手いですねーー!もー、言葉選びやストレスのない文章は当然として、ひき付ける力の強さといったら・・・
この物語はトラウマ物になるかと思いますが、
作中にもあるように神経症の話と捉える方がずっと作中に描かれる乙矢の細かい謎めいた行動や動作の意味する辛さ・苦悩が伝わると思います。
乙矢は強迫性障害に悩まされているらしく、手袋を外せず、また、ストレスを感じると手を洗うのです。
プライドが高い乙矢ですから、その「無意味な行動」をやめられない自分に内心恥じ入り、絶望さえしている。
でも、それは自分ひとりで抱え込んで出口のない状態にいます。
他人にも「無意味な行動」を強要するキテレツな設定の乙矢と、彼の秘書になるために訓練中の原田。
原田が感じる戸惑いをコミカルな語り口で綴ることで普通なら重くて暗い話になるのを、そうはさせずに描いています。
キテレツと言っても、ドタバタしていないし、ナンセンスではない、オトナがニヤつけるコメディです!
乙矢がどうしても症状として「できないこと」と、心密かに努力して「やれるようになりたいと思っていること」を丁寧に判別して、
それとなくリードする原田がホント、イイ男なんですよね。
《この間まで出来なかったことが、今度、できるようになった!》という喜びをジワジワッと静かに共有しながら読み進められます。
乙矢がアマノジャクな分、努力している姿は絶対晒さないし、生活の変化もそれこそちょっとずつでしかないのですが、
その分、原田との距離が縮まっていくプロセスが嬉しくなってしまいます。
恋愛が深まるプロセスと一味違う達成感に、かぶりついてしまいました。
これほど物語の途中でHシーンを必要としないBL、あるんですね。
王道なお話
★★★★☆
「私に触れたら殺す」
大手製薬会社の営業の面接のはずが、いつの間にか極度の潔癖症で性格最悪、顔だけはいい乙矢の特別秘書候補として執事の教育を受けることになってしまった仁。
あまりの乙矢のわがままぶりに嫌気が差し、正式採用された瞬間自分からやめてやる、と密かに決めていた仁だが、彼を知るにつれ気持ちが変わってきて……
わがままでトラウマ持ちの受と、それを世話したり暖かく受け止めたりする攻、という榎田さんお得意のパターンでかなり楽しむことができました。
乙矢が潔癖症なためボディタッチがほとんどありませんが、その分かたくなだった彼が少しずつ仁を信頼し始める様子が丁寧で、物足りなさは感じませんでした。
特に潔癖症を直すためのチェスを、実は乙矢が楽しみにしているといったあたり、彼のいじらしさが伝わってきてよかった。
無防備に仁を信頼していく乙矢の気持ちが裏切られてしまうのでは、と中盤はらはらしましたが、幸せなクライマックスでほっとしました。
トラウマもの万歳!
★★★★☆
執事・潔癖症というキーワードで私の中ではヒット。
唯一、体育会系執事というのが意外でした。
トラウマ克服、主従ラブという王道です。
王道には王道たる由縁がるとは言ったもの…やっぱり良いです。
兎に角、主従・執事・お屋敷・強気受けが好きな方にはおススメ。
コトのシーンは少なめです。
心理描写にこだわる方向け。
面白いです!
★★★★★
榎田さんの作品は、読んでて、頭のなかに映像が浮かんできますよね。
菜箸で鼻をつまむシーンなんか、「そうそう。あるよねぇ、そんな、イケないコトしたくなる衝動!」なんて一人で忍び笑いしながら、もう私の中では、月曜9時のテレビドラマになった時の・・(って、ありえないけど、でも、BLが月9になるくらい市民権を得るといいなぁ)・・配役も決まってますもん!