そんな時出てきたのがこの本だ。三上章説を継承するという著者は、かつて三上説を切り捨てた学界に乗り込んできた。
著者は、カナダで日々学生と共に実践を積んでいるから、説得力がある。
ある日、女子学生からこんな質問を受けた。
「歯と葉、鼻と花は、発音が同じだから同根ではないですか」と、聞かれ絶句したとあるが、著者のいいところはその後自分なりに調査して、発展してゆくところにある。
けれども、この発音の同根問題は、日本人でも忘れている「やまとことば」まで、さかのぼらなければ定かではないだろう。
このように綴られる筆者の視点と語学にまつわるエピソードはとても楽しく、直ぐにでも実践できる気持ちになった。