「エッツは、友だちをつくるのがどんなに大切か、知っているし、信じている。」
★★★★★
金髪のストレートの髪を上で編み込み、
白い紙飾りをつけている少女。
真一文字に結ばれた唇とまっすぐな目。
表紙の彼女は、少し寂しそうに見える。
だから、「わたしとあそんで」という願いが聞き届けられないお話なのかなと思って、
気になってはいたけれど、なんとなく手にできなかった。
読んでみようかなと思ったのは、『クシュラの奇跡』にあったこの言葉がきっかけ。
クシュラの奇跡―140冊の絵本との日々
マリー・ホール・エッツの全作品は、彼女が、
幼年時代の関心事を敏感にとらえていることを示している。
エッツは幼児のせまい視界を内蔵しており、
世界を子どもの目の高さから見る。
葉っぱの上のばった、地べたのかえる。
エッツは、友だちをつくるのがどんなに大切か、知っているし、信じている。
「友だちをつくるのがどんなに大切か、知っているし、信じている」という言葉。
何度も反芻したくなるような印象的な言葉だった。
そして、図書館に行くと、まるで待っていてくれたかのように
真新しい『わたしと あそんで』(奥付には2010年5月1日 第84刷 と書いてある。)と
原書の『Play with me』があった。
原書が最初に出版されたのは1955年、翻訳本初版は1968年8月1日。
以来ずっと子どもたちに愛されてきたのだ。
絵は1枚1枚がスケッチブックの1ページ1ページに
ささっと描いてあるかのよう。
もしかしたら、絵が先にできて、スケッチブックをめくりながら
子どもに語るようにしてお話ができたのではないかしら。
絵の中だけの世界で完結する世界。
女の子がどんな子でどこからやってきたのかは気にしなくていい。
彼女はどこかからやってきて、どこかへと帰っていく。
ちょっとシュールな顔をしたおひさまが、彼女を見守っている。
ただ、彼女と生き物たちだけの世界。
雰囲気は、林明子さんの『はっぱのおうち』や『まほうのえのぐ』と似ている。
はっぱのおうち (幼児絵本シリーズ)
まほうのえのぐ(こどものとも絵本)
表紙と同じやさしいクリーム色の背景にクロッキーで線を引いたのだろうか。
女の子と生き物たちとおひさまだけが彩色されていて、あとは線のみだ。
「わたし」は、そこにいるあらゆる生き物たちにあそびましょと声をかける。
ばったにも、かえるにも、かねにも、りすにも・・・。
でも、どの生き物たちも近寄るとみんな逃げていってしまう。
ここは繰り返しの世界。
だあれも だあれも あそんでくれないので、わたしは
ちちくさを とって、たねを ぷっと ふきとばしました。
ここから展開が変わるのである。
彼女は追いかけずに、池のそばの石にこしかけている。
最初は静かにしていれば帰ってくると計算していたわけではない。
音を立てずにこしかけているとみんな戻ってきたから、
そのまま静かにしていたのだ。
「わたし」が追いかけなかった新しい動物までやってきた。
「わたし」の幸せそうな表情。
彼女の喜びの言葉はとても素朴だけど、本当に心からの言葉。
一緒に笑顔になって同じ言葉が言えそうだ。
女の子の笑顔が最高にかわいい!
★★★★★
一人で野原へ出かけた女の子は、ばったやかえるやかめ、最後にはへびと遊ぼうとするのですが、みんなに逃げられてがっかり。池のそばにしょぼんと座っていると、生き物たちがそっともどってきて…… 。
三歳くらいの女の子が「わたし」で語りかけてきます。この子がかわいい! 頭にチョウチョのような白い大きなリボンをつけ、白いスモックドレスを着て、ちっちゃな女の子というイメージにぴったり。表情の変化、ちょっとした仕草も、本当に子どもらしい愛らしさにあふれ、笑顔が最高! (ちょっと酒井駒子さんの絵に似ている)
「ああ わたしはいま、とってもうれしいの。」生き物に囲まれて遊んでもらって、どんなにうれしいのかが伝わってきます。子どもは本当にすっと自然に溶け込めるんだなあ。大人までも、幼い頃の自分に出会ったような気分にさせてくれる、名作『もりのなか』のような、静かな明るさに満ちた本。
娘のお気に入りです
★★★★★
最初、小学1年生の娘が、図書館で借りた絵本ですが、すごく気に入ったらしく、買ってほしいとのことだったので購入しました。
最後に、いろんな動物が集まってくるところが特に気に入っているようです。
娘にとって、大きくなってもずっと思い出に残る絵本になってくれたらいいなあと思います。
わたしとあそんで
★★★★☆
「あそびましょ」と、声をかけると逃げるけど
音も立てずに、腰掛けていると、動物が寄ってくる。
へぇ〜と、感心してしまった。
押してだめなら、引いてみろだなー。
自然の世界を教えてもらえた絵本でした。
だいすきな絵本のひとつ つきあうってどういうこと?
★★★★★
ちいさな女の子が、しぜんの生物とあそぼうとちかずくと、みんな逃げてしまう。でも、みんなが自然に近づくのをじっと待っていると、よってきて、さらにみんなを自由にさせておくと、うまく遊べる。
わたしには、あいては生物だけではなく、ひととつきあうことってどういうこと?っていっているように見えました。たったそれだけのお話だけど、心に強く残りました。