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文化人類学入門―古典と現代をつなぐ20のモデル

価格: ¥2,520
カテゴリ: 単行本
ブランド: 弘文堂
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拡散する学問の可能性を垣間見て ★★★★☆
現代日本の学界で、第一線で活躍している方々によるこの「教科書」を前にして何だが、はっきりいって、成功していない。「文化人類学」というジャンルで「古典」とされている書物を簡潔に紹介し、そこにみられる問題意識といまだ啓発的なアイデアを、現代人類が直面している課題へとつなげていく、という趣旨のもとに各章が書かれているのだが、上手くいっているのは、まあ、半分くらいだろうか。
「古典」の解読は、さすがにこなれていて、文句はない。だが、これが、すんなりと「現代」に応用できるようには、決してなってはいないのだ。「こじつけ」に思えてしまうもの、「古典」を経由しないで、直接「現代」の現実に取り組んだ方がてっとりばやいのでは、という印象を抱いてしまうもの、少なくない。
あえていえば、第四部の「文化」を扱った部分は、よく出来ている。社会経済的な大変動を経験しても、もとの構造をわりと強固に残しているからだ。「神話と宗教」や、「儀礼と祭」とか、過去の問いの枠組を少し作り直せば、そのまま現在の事象をおさえることができるようである。
逆説めくが、この「古典」の使えなさ加減にこそまさに、私たち「現代」の人類がいかに新しい社会現象と向き合っているのかという発見があり、そこにこそ今日の人類学の挑戦があるのだという希望がある。本書は、まだこの学問をよく知らない人たちが、その混沌とした未来にふれることができるという点で、あるいはこれまでとはちがった「入門書」に仕上がっているのかもしれない。